水曜日の黒猫
「水曜日の黒猫はいつでもここにいる。またいつでも来い」

「キャンディのお兄ちゃん、ありがとう!!」

「どういたしまして。でも約束な。ママの笑顔を咲かせるために、約束は守るんだぞ――“小さなキャンディのお姫さま”」

「お兄ちゃんはやっぱり、すごい魔法使いだね! お姉ちゃんも水曜日の黒猫に会いにきたの? ここね、“水曜日の夜”にしか開いてないんだよ、えみもね水曜日にケンカしちゃうの。でもキャンディのお兄ちゃんの魔法があるからがんばれるの」



 ――“水曜日の魔法使い”だ。



 わたしは、いつの間にか泣いていた。それは小雨が降るように、静かに。
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