水曜日の黒猫
失ったと思っていたものは、全部ちゃんと胸の中にあった。きっかけがあればいつだって思い出せたはずのに、それを拒んだのは自分自身だったかもしれない。
わたしはそっと瓶からキャンディを取り出し、口に放り込む。
「……“水(すい)”」
キャンディのお兄ちゃんは、ずっと変わってなかった。“あの頃”のままだ。
女の子に手を振り見送った後――宵闇の人が振り返る。
「月(るな)。あの日の、夢の続きをしよう」
わたしはそっと瓶からキャンディを取り出し、口に放り込む。
「……“水(すい)”」
キャンディのお兄ちゃんは、ずっと変わってなかった。“あの頃”のままだ。
女の子に手を振り見送った後――宵闇の人が振り返る。
「月(るな)。あの日の、夢の続きをしよう」