水曜日の黒猫
 水(すい)の瞳はどこまでも水のように澄んでいて、汚れがない。その瞳が愛おしそうにわたしを見つめ、真実を告げた。どんな美しい詩集よりも、美しい言葉で。




「たとえ泡沫の出会いでも俺は、始まりから終わりまで月(るな)といたい。何が好きでも嫌いでもいい、俺が寄り添うから。月は月のまま、生きていけばいい」




 宵闇の髪が夜の帳をおろす。唇が、わたしの髪に触れる。レモネードキャンディが運んだ幸せの種が今芽吹いて、花を降らせる。


 

 この先もう水曜日の呪いにおびえることもかかることもないだろう、だって隣には――。





「水曜日の黒猫は、お前だけを永遠に愛するよ」




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