転生モブ令嬢にシナリオ大改変されたせいでヒロインの私はハードモードになりました
22.元凶との対峙
全く無傷の王太子エドワード達はマリナ達の元へやって来る。
「マリナ・ルベライト、またお前か」
エドワード達はイーリスを庇うように立ちマリナを睨む。
「私が何か?」
マリナも冷たい目でエドワード達を睨んでいる。
「やっぱりお前は救いようのない悪女だな」
強く言い放つエドワード。
「悪女……私がね。私は貴方達に何かしました?」
マリナは冷たく笑う。
「入寮日に貴方は大勢の前で私に近づくなと言いましたが、私が何をしたというのです?」
今度はマリナが強く言い放つ。その迫力に、エドワード達は一瞬怯む。
「それは……」
エドワードは口ごもる。
「答えられませんよね。私は何もしていないのだから」
マリナは勝ち誇ったような笑みになる。
「……だが、お前はイーリスを害する存在だ!」
「見ず知らずの相手をどうして害さないといけないのですか? 教えてくださいよ」
怒りに任せてマリナは小馬鹿にしたような笑みをエドワードに向ける。
「お前、さっきから王太子の俺に向かって不敬だぞ!」
「国王陛下からは許可をいただいてます。貴方達から暴行を受けた後、エヴァンジェリン様が王宮へ連れて行ってくださったので」
またもや勝ち誇った笑みを浮かべるマリナ。
(もうここまできたら好きに言わせてもらうわ。私もルベライト男爵家も、国王陛下直属の庇護下にあるのだから)
国王バートラムと謁見した際、今後マリナやルベライト男爵家に不利益を与えてくる者はバートラムの名の下排除すると約束してくれたのだ。
「ふざけたことを!」
マリナに殴りかかろうとするエドワード。しかしそれをアルジャノーンが止める。
「女性に暴力とは、この国の王太子は地に落ちたものだ」
怒りと侮蔑を含んだ笑みのアルジャノーン。
「誰だお前は!?」
アルジャノーンの本来の姿を初めて見るエドワード。疑問に思いつつも不快そうな表情だ。
「アステール帝国の皇太子アルジャノーン・アステールだ」
すると周囲が騒つく。
エドワードの後ろでイーリスがポツリと呟く。
「嘘……! 隠しキャラ……! 何で……!?」
その声はすぐに騒つきにかき消される。イーリスはカナリアイエローの目を大きく見開いていた。
「アステール帝国の皇太子がどうしてここに?」
エドワードは怪訝そうに眉を顰める。
「一応、この学園の生徒なのだが」
アルジャノーンはフッと笑い、眼鏡型の変身魔道具を装着する。
プラチナブロンドの髪は茶色に、紫の目はオレンジに変化した。
皆が見慣れた新興男爵令息アル・ジョンソンの姿である。
「お前は……!? どうして変装していた!?」
青い目を大きく見開いているエドワード。
「入学案内には小さいが注意書きで『他国の王族や皇族が身分を隠して入学することがある』と書いてあったのを読んでいないようだな。責任ある立場なら、書類の細部まで目を通しておくのが基本だろう。この国の王太子や貴族達はそんな簡単なこともできないようだな」
口元は笑っているが、目は笑っていないアルジャノーン。再び眼鏡を外し、プラチナブロンドの髪と紫の目に戻る。
誰も何も言えない状況だ。
そんな中、一人の声が響き渡る。
「全部、全部悪いのはマリナ・ルベライトよ……!」
震える声だった。イーリスである。
「イーリス様でしたね。どうして私が悪いのですか? 私は貴女に何もしていません」
マリナはため息をつく。
「それは……貴女の存在が私を脅かすからよ……!」
少し考え、苦し紛れにそう言うイーリス。
「何もしていないのに、貴女にそんなことを言われる筋合いはないわ」
ピシャリと冷たく言い放つマリナ。
「本当、聞いていて呆れますわ」
エヴァンジェリンが前に出て来る。エドワード達を完全に見下した、いや、恨んでいるような表情だ。
「こんなのがジュエル王国の王太子だなんて。やっぱり魔力が高く優秀なジェフリー殿下が王位を継いだ方がいいですわね。魔力が低く、マリナ様をとんでもない目に遭わせ、非常時に前線に出ない無能よりも」
青筋を立て、ギロリとエドワードを睨みつけるエヴァンジェリン。
まるでマリナを酷い目に遭わせるなんて許せないと言うかのような表情だ。
(あ……そういえば、『光の乙女、愛の魔法』でエドワードは弟より能力が低いことを悩んでいたんだわ。それをヒロインが寄り添っていくのだったわね。すっかり忘れていたわ。他の攻略対象達の悩みもヒロインが寄り添って解決なり克服するのよね)
マリナは『光の乙女、愛の魔法』の内容を思い出していた。
(イーリスが寄り添って解決したのかしら?)
マリナはイーリスに目を向けた。彼女は震えながら俯いている。
エヴァンジェリンは更に言葉を付け加える。
「おまけに魔獣襲来の非常時に前線に出ずに安全な場所にいただなんて。ジェフリー殿下は騎士団を引き連れて戦いましたわよ。どちらが次期国王に相応しいかは一目瞭然ですわね」
完全に挑発していた。
「お前……!」
エドワードはエヴァンジェリンにつかみかかろうとするが、ヴィクターが彼女を守る。流石は婚約者だ。
そしてエヴァンジェリンは俯くイーリスの耳元で冷たく囁く。
「モブの癖にマリナ様から攻略対象を奪うだなんて、身のほどを知りなさい。私の推しと大好きだったゲームを汚した罪は万死に値するわ」
すると悔しそうな表情になるイーリス。
「前世の知識を使って幸せになろうとしてもいいじゃないの……!」
「ええ。でも貴女はやり方が汚いわ」
エヴァンジェリンはフンッと冷たく笑った。
「これ以上我が妻となるマリナを誹謗中傷するのなら、国際問題に発展させることも厭わないぞ」
アルジャノーンは全体に向けてそう脅しをかけた。
「マリナ・ルベライトがアステール帝国皇太子の妻だと……!? 随分と身分違いだな」
驚き半分、小馬鹿にするエドワード。
するとヴィクターが口を開く。
「マリナ嬢はインテクルース公爵家の養女になるので、身分的には問題ありません」
その時、避難所の外から多くの足音が聞こえる。
「さて、そろそろか」
アルジャノーンはニヤリと口角を上げた。
その時、ジェフリーと騎士団の者達が避難所にやって来た。
「兄上、貴方はたった今廃嫡となりました。また、女神アメジスト様と同じ希少な光の魔力を持つマリナ・ルベライト嬢を国外に流出させた罪により、エドワード・ジュエル、イーリス・シャーマナイト、ショーン・ダイヤモンド、アンソニー・サファイア、ライアン・ルビーの五人を投獄します。皆、彼らを捕らえるのです」
ジェフリーが騎士団の者達にそう指示すると、素早くエドワード達は捕えられた。
「待てジェフリー! どういうことだ!?」
「私は……何も悪くないわ……!」
エドワードとイーリスは抵抗する。他の三人も同様に抵抗していた。しかし、呆気なく騎士団に連れて行かれるのであった。
「マリナ・ルベライト、またお前か」
エドワード達はイーリスを庇うように立ちマリナを睨む。
「私が何か?」
マリナも冷たい目でエドワード達を睨んでいる。
「やっぱりお前は救いようのない悪女だな」
強く言い放つエドワード。
「悪女……私がね。私は貴方達に何かしました?」
マリナは冷たく笑う。
「入寮日に貴方は大勢の前で私に近づくなと言いましたが、私が何をしたというのです?」
今度はマリナが強く言い放つ。その迫力に、エドワード達は一瞬怯む。
「それは……」
エドワードは口ごもる。
「答えられませんよね。私は何もしていないのだから」
マリナは勝ち誇ったような笑みになる。
「……だが、お前はイーリスを害する存在だ!」
「見ず知らずの相手をどうして害さないといけないのですか? 教えてくださいよ」
怒りに任せてマリナは小馬鹿にしたような笑みをエドワードに向ける。
「お前、さっきから王太子の俺に向かって不敬だぞ!」
「国王陛下からは許可をいただいてます。貴方達から暴行を受けた後、エヴァンジェリン様が王宮へ連れて行ってくださったので」
またもや勝ち誇った笑みを浮かべるマリナ。
(もうここまできたら好きに言わせてもらうわ。私もルベライト男爵家も、国王陛下直属の庇護下にあるのだから)
国王バートラムと謁見した際、今後マリナやルベライト男爵家に不利益を与えてくる者はバートラムの名の下排除すると約束してくれたのだ。
「ふざけたことを!」
マリナに殴りかかろうとするエドワード。しかしそれをアルジャノーンが止める。
「女性に暴力とは、この国の王太子は地に落ちたものだ」
怒りと侮蔑を含んだ笑みのアルジャノーン。
「誰だお前は!?」
アルジャノーンの本来の姿を初めて見るエドワード。疑問に思いつつも不快そうな表情だ。
「アステール帝国の皇太子アルジャノーン・アステールだ」
すると周囲が騒つく。
エドワードの後ろでイーリスがポツリと呟く。
「嘘……! 隠しキャラ……! 何で……!?」
その声はすぐに騒つきにかき消される。イーリスはカナリアイエローの目を大きく見開いていた。
「アステール帝国の皇太子がどうしてここに?」
エドワードは怪訝そうに眉を顰める。
「一応、この学園の生徒なのだが」
アルジャノーンはフッと笑い、眼鏡型の変身魔道具を装着する。
プラチナブロンドの髪は茶色に、紫の目はオレンジに変化した。
皆が見慣れた新興男爵令息アル・ジョンソンの姿である。
「お前は……!? どうして変装していた!?」
青い目を大きく見開いているエドワード。
「入学案内には小さいが注意書きで『他国の王族や皇族が身分を隠して入学することがある』と書いてあったのを読んでいないようだな。責任ある立場なら、書類の細部まで目を通しておくのが基本だろう。この国の王太子や貴族達はそんな簡単なこともできないようだな」
口元は笑っているが、目は笑っていないアルジャノーン。再び眼鏡を外し、プラチナブロンドの髪と紫の目に戻る。
誰も何も言えない状況だ。
そんな中、一人の声が響き渡る。
「全部、全部悪いのはマリナ・ルベライトよ……!」
震える声だった。イーリスである。
「イーリス様でしたね。どうして私が悪いのですか? 私は貴女に何もしていません」
マリナはため息をつく。
「それは……貴女の存在が私を脅かすからよ……!」
少し考え、苦し紛れにそう言うイーリス。
「何もしていないのに、貴女にそんなことを言われる筋合いはないわ」
ピシャリと冷たく言い放つマリナ。
「本当、聞いていて呆れますわ」
エヴァンジェリンが前に出て来る。エドワード達を完全に見下した、いや、恨んでいるような表情だ。
「こんなのがジュエル王国の王太子だなんて。やっぱり魔力が高く優秀なジェフリー殿下が王位を継いだ方がいいですわね。魔力が低く、マリナ様をとんでもない目に遭わせ、非常時に前線に出ない無能よりも」
青筋を立て、ギロリとエドワードを睨みつけるエヴァンジェリン。
まるでマリナを酷い目に遭わせるなんて許せないと言うかのような表情だ。
(あ……そういえば、『光の乙女、愛の魔法』でエドワードは弟より能力が低いことを悩んでいたんだわ。それをヒロインが寄り添っていくのだったわね。すっかり忘れていたわ。他の攻略対象達の悩みもヒロインが寄り添って解決なり克服するのよね)
マリナは『光の乙女、愛の魔法』の内容を思い出していた。
(イーリスが寄り添って解決したのかしら?)
マリナはイーリスに目を向けた。彼女は震えながら俯いている。
エヴァンジェリンは更に言葉を付け加える。
「おまけに魔獣襲来の非常時に前線に出ずに安全な場所にいただなんて。ジェフリー殿下は騎士団を引き連れて戦いましたわよ。どちらが次期国王に相応しいかは一目瞭然ですわね」
完全に挑発していた。
「お前……!」
エドワードはエヴァンジェリンにつかみかかろうとするが、ヴィクターが彼女を守る。流石は婚約者だ。
そしてエヴァンジェリンは俯くイーリスの耳元で冷たく囁く。
「モブの癖にマリナ様から攻略対象を奪うだなんて、身のほどを知りなさい。私の推しと大好きだったゲームを汚した罪は万死に値するわ」
すると悔しそうな表情になるイーリス。
「前世の知識を使って幸せになろうとしてもいいじゃないの……!」
「ええ。でも貴女はやり方が汚いわ」
エヴァンジェリンはフンッと冷たく笑った。
「これ以上我が妻となるマリナを誹謗中傷するのなら、国際問題に発展させることも厭わないぞ」
アルジャノーンは全体に向けてそう脅しをかけた。
「マリナ・ルベライトがアステール帝国皇太子の妻だと……!? 随分と身分違いだな」
驚き半分、小馬鹿にするエドワード。
するとヴィクターが口を開く。
「マリナ嬢はインテクルース公爵家の養女になるので、身分的には問題ありません」
その時、避難所の外から多くの足音が聞こえる。
「さて、そろそろか」
アルジャノーンはニヤリと口角を上げた。
その時、ジェフリーと騎士団の者達が避難所にやって来た。
「兄上、貴方はたった今廃嫡となりました。また、女神アメジスト様と同じ希少な光の魔力を持つマリナ・ルベライト嬢を国外に流出させた罪により、エドワード・ジュエル、イーリス・シャーマナイト、ショーン・ダイヤモンド、アンソニー・サファイア、ライアン・ルビーの五人を投獄します。皆、彼らを捕らえるのです」
ジェフリーが騎士団の者達にそう指示すると、素早くエドワード達は捕えられた。
「待てジェフリー! どういうことだ!?」
「私は……何も悪くないわ……!」
エドワードとイーリスは抵抗する。他の三人も同様に抵抗していた。しかし、呆気なく騎士団に連れて行かれるのであった。