【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
「いいっ加減にしろーーーっ!!」

 私の叫び声に呼応して、私を中心に目が眩むほど眩い光があたり一体を覆い尽くし、光の矢が降り注ぐ。
 光の矢は周辺全部を貫いて、光の消失と共に全ての状態は元に戻っていた。
 久しぶりに使った大業に私は肩で息をする。"閃光の聖女"だなんて、誰がつけたのか分からない小っ恥ずかしい二つ名がつくほど、私の光魔法はかなり強い。
 ここ半年ほとんど魔力を使っていなかったから、魔力が有り余っていたおかげで手加減なしで魔法を展開できた。

「私のシマ荒そうだなんて、いい度胸してるじゃない」

 私は表出させた2丁拳銃を左右の手に持ち、ノエルとアルそれぞれに照準を合わせた。

「セリシアっ、落ち着け、な?」

「シア、落ち着こう?」

 強い光に当てられて惚けていた2人は、私の怒気を孕んだ声にたじろぎ、武器を下ろす。

「私はこの上なく冷静です」

 銃を構えたままにこっと笑って私はそう言葉を紡ぐ。

「ねぇ、勇者様? 私、このラスティで、ようやく念願のスローライフが送れるようになったの。なのにヒトの平穏を土足で踏み荒らしてくれやがって、アンタ本当に何しに来たのよ? アルは無害だつってんでしょうが!! 討伐依頼も出てないのに手当たり次第殲滅すんな、この戦闘狂がっ!!」

 私の言葉にノエルの顔からさーっと血の色が引く。やらかしたと気づいたようだが、もう遅い。

「アル、人を襲ってはいけませんって私常々言ってたよね? 忘れちゃったかなー?」

「……えっと、シア。あのね」

 アルもアルだ。私の話も聞かずに勇者に向かっていくなんて。
 全く目が笑っていない私の顔を見て、叱られた子どもみたいに萎縮する2人。

「セリシア、怒っているのか?」

「ヤダ、怒るだなんて、そんなの生ぬるい♡激怒してます」

 私は構えた銃をチャキっと鳴らしてトリガーを引く。

「2人とも、反省なさい」

 撃ち抜かれた2人はその場にそのまま倒れた。

「「………ーー〜〜〜〜っ」」

 そして2人とも地面に伏せたまま痛みのあまり身体を捩らせ悶絶する。痛いと泣き叫ばないだけすごいけど、2人ともそれなりにダメージを負っていたのでかなり痛いはずだ。
 私のこの特殊な回復魔法は、潜在的に溜まったダメージを強制的にデトックスする。
 例えるなら足ツボマッサージの痛みを全身に受けているようなものだ。まぁ、痛いだけあって終わったあとはかなりすっきりするけど。

「しばらく痛みに悶え苦しむといいわ。ああ、次私のシマで暴れたらこんなものじゃ済まさないから」

 私はアルだけ回収してマロに乗せると捨て台詞を吐いてマロの綱を引き歩き出した。
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