【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
連れていかれたのは、シェイナの個人室だった。
「じゃあまず、服を脱ぎましょうか」
「はっ? 嫌だけど?」
ドアの鍵を閉めたシェイナはメジャーを片手ににっこり笑うシェイナは、間髪入れずに断った私の服を掴んで、
「先ほどは揶揄ってすみませんでした。なので、お詫びにセリシア様を女の子にしてあげます。だから、早く脱げ?」
無理やり脱がせ始めた。
「嫌だってばっ!」
「アル様のこと好きなんでしょ? 絶対私に感謝しますから、黙って言うこと聞きなさいっ」
「ハイっ?」
好きという単語に反応して抵抗する手が止まった私の上着を剥ぎ取ったシェイナは、
「あ〜やっぱり下着のサイズ合ってない。まずはここからね」
呆れたようにそういった。
前から思っていたんですよね、と前置きをしてシェイナは『女の子』に必要ないろいろなことを教えてくれた。私はその間に聞かれるがまま自分の生い立ちをシェイナに話した。
「セリシア様は普通の人が知らないような知識を沢山お持ちで、無自覚に人の悩み事を解決していくくせに、どうして普通の女の子が知っているような知識も武器もお持ちでないんだろうってずっと疑問でした」
そして今は化粧の仕方を実践で教えてくれながら、シェイナは優しく笑う。
「誰も、セリシア様を女の子として扱ってくれなかったんですねぇ」
こっちの色味の方がいいですねと淡いピンクのルージュをひく。
「私には、全部必要のないものだったから」
貧民街にいたときは食べ物にありつくだけで一杯で、孤児院では身を粉にして生きることに必死で、聖女になってからは求められるまま能力を酷使し続ける毎日で。
そんな生き方を考える余裕なんてなかった。
「スローライフを送りにきたんでしょう? せっかく、国から聖女じゃないとお墨付きをもらって追放されたんですから、楽しまなければ損ではないですか」
できました、と言われて私は姿見に写った自分をみて息を呑む。
今まで着た事がないようなふわりと揺れる淡い黄色の可愛いワンピースに踵の高い靴。
緩く巻かれた明るいピンク色の髪に留まる花の髪飾り。
薄く化粧を施された碧眼の女の子が驚いたように瞬きを繰り返す。
「元がいいんですから拗ねる前に、まずは女の子として努力してみてはいかがです? 聖女でないなら、恋をするのも自由でしょう? 本来の髪はこんなにキレイな色だったんですねぇ。嫁の本気度がヤバいです。羨ましい。ここ半年で随分顔色も良くなって女の子らしい体つきになったことだし、着飾らないなんて勿体無い。分からないことは、お姉さんが教えてあげるから」
「……じ、ゆう?」
「そう、自由です。セリシア様は自由ですよ」
この服と化粧品は釣り大会実行委員の報酬として差し上げますとシェイナは私の髪を撫でる。
「ゆっくりこれからのことを悩んだり、恋をしてみたり、可愛くなるためにおしゃれをしてみたり、そういうことをしてみてもいいんじゃないでしょうか。その中で、セリシア様の理想のスローライフを見つけてみてください。本当は何をしていいかよくわかっていなかったのでしょう?」
シェイナの言葉に私はゆっくり頷いた。
聖女を辞めた私は本当に知らないことだらけで、そんな自分とゆっくり向き合って行く時間がこれからはあるのかと思うとそのことが単純に嬉しかった。
「なので、まぁその一環としてまずはボランティアの人員確保をお願いします。アル様に頼っちゃダメですよ?」
やったことのなかったことに、そして聖女として生きていたら得られなかったことに自分で手を伸ばす。その一歩に私の気持ちはどうしようもないほどワクワクする。
「うん、やってみる」
そして、今ならできそうな気がした。
「じゃあまず、服を脱ぎましょうか」
「はっ? 嫌だけど?」
ドアの鍵を閉めたシェイナはメジャーを片手ににっこり笑うシェイナは、間髪入れずに断った私の服を掴んで、
「先ほどは揶揄ってすみませんでした。なので、お詫びにセリシア様を女の子にしてあげます。だから、早く脱げ?」
無理やり脱がせ始めた。
「嫌だってばっ!」
「アル様のこと好きなんでしょ? 絶対私に感謝しますから、黙って言うこと聞きなさいっ」
「ハイっ?」
好きという単語に反応して抵抗する手が止まった私の上着を剥ぎ取ったシェイナは、
「あ〜やっぱり下着のサイズ合ってない。まずはここからね」
呆れたようにそういった。
前から思っていたんですよね、と前置きをしてシェイナは『女の子』に必要ないろいろなことを教えてくれた。私はその間に聞かれるがまま自分の生い立ちをシェイナに話した。
「セリシア様は普通の人が知らないような知識を沢山お持ちで、無自覚に人の悩み事を解決していくくせに、どうして普通の女の子が知っているような知識も武器もお持ちでないんだろうってずっと疑問でした」
そして今は化粧の仕方を実践で教えてくれながら、シェイナは優しく笑う。
「誰も、セリシア様を女の子として扱ってくれなかったんですねぇ」
こっちの色味の方がいいですねと淡いピンクのルージュをひく。
「私には、全部必要のないものだったから」
貧民街にいたときは食べ物にありつくだけで一杯で、孤児院では身を粉にして生きることに必死で、聖女になってからは求められるまま能力を酷使し続ける毎日で。
そんな生き方を考える余裕なんてなかった。
「スローライフを送りにきたんでしょう? せっかく、国から聖女じゃないとお墨付きをもらって追放されたんですから、楽しまなければ損ではないですか」
できました、と言われて私は姿見に写った自分をみて息を呑む。
今まで着た事がないようなふわりと揺れる淡い黄色の可愛いワンピースに踵の高い靴。
緩く巻かれた明るいピンク色の髪に留まる花の髪飾り。
薄く化粧を施された碧眼の女の子が驚いたように瞬きを繰り返す。
「元がいいんですから拗ねる前に、まずは女の子として努力してみてはいかがです? 聖女でないなら、恋をするのも自由でしょう? 本来の髪はこんなにキレイな色だったんですねぇ。嫁の本気度がヤバいです。羨ましい。ここ半年で随分顔色も良くなって女の子らしい体つきになったことだし、着飾らないなんて勿体無い。分からないことは、お姉さんが教えてあげるから」
「……じ、ゆう?」
「そう、自由です。セリシア様は自由ですよ」
この服と化粧品は釣り大会実行委員の報酬として差し上げますとシェイナは私の髪を撫でる。
「ゆっくりこれからのことを悩んだり、恋をしてみたり、可愛くなるためにおしゃれをしてみたり、そういうことをしてみてもいいんじゃないでしょうか。その中で、セリシア様の理想のスローライフを見つけてみてください。本当は何をしていいかよくわかっていなかったのでしょう?」
シェイナの言葉に私はゆっくり頷いた。
聖女を辞めた私は本当に知らないことだらけで、そんな自分とゆっくり向き合って行く時間がこれからはあるのかと思うとそのことが単純に嬉しかった。
「なので、まぁその一環としてまずはボランティアの人員確保をお願いします。アル様に頼っちゃダメですよ?」
やったことのなかったことに、そして聖女として生きていたら得られなかったことに自分で手を伸ばす。その一歩に私の気持ちはどうしようもないほどワクワクする。
「うん、やってみる」
そして、今ならできそうな気がした。