【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
19.その聖女、懺悔を促す。
「ギルドマスター、すみません」
ドアの外で切羽詰まったような声がして、シェイナはドアを開ける。
姿を現したのは、私も見かけたことがあるギルドのアルバイトの女の子だ。
「一階でトラブルがありまして」
「トラブル? 一体何が?」
「実はS級ランクの冒険者さんが暴れていて。アルさんが止めてくれているんですが、ヒーラーの子が怪我をしているみたいでっ」
「シェイナ、私が出るわ」
私は整えてもらった格好が着崩れないように注意しながら歩く。
「セリシア様、S級ランクが暴れていてはお怪我をされるかもしれません。怪我人回復のためにもセリシア様はここに残って」
「だから私が出るの。せっかく可愛くしてもらったんだもの、閉じこもっているなんて勿体無いわ」
シェイナの静止を遮って、私は慣れない高いヒールを鳴らして歩く。ああ、これなんかの訓練に似ているかも。体幹鍛えられそうと変なことを考えながら私は笑う。
「いろいろ教えてもらったお礼に、すぐギルドを静かにしてあげるわ」
そういい残して、私は1階に向かって走り出した。
階段を飛び降りた私の目に入ったのは、ギルドのエントランスで両手に武器を嵌めた屈強な大男を中心に柄の悪い人相をした様々な武器を持った男女が5人。視線を流した先にアルとその後ろに震えるように疼くまる女の子の姿を目で確認した。
「おいおい、うちのパーティの貴重な回復職なんだ。返してくれよ」
「女の子怪我させといて何いってるんだか。嫌がってるし、この子オタクらのグループ抜けたいんだってよ」
大男からの圧などまるで効かないとばかりにアルはにこやかに対峙する。
「お前みたいにナイト気取りの優男って言うのが一番ムカつくんだ。女にきゃーきゃー騒がれて、いい気になるなよ。弱ぇくせに、捻り潰すぞ」
「アル、怪我してるのってその子?」
「ちょうどよかった、シ」
私を見たアルの言葉が途切れる。
「シ……ア?」
「なんで疑問系? 私だよ」
まぁ自分でもびっくりするくらいいつもと違うから気持ちは分かるけど。
私は震えている子に近づいて様子を見る。腕が、ありえない方に曲がっていた。
「なんで、この子こんな怪我をしているの?」
一応、事実確認は必要かなと思い聞いてあげる。
「はっ、守られているだけの後衛職のくせに俺様の方針にたてついたから躾けてやっただけだ。その程度、自分で治せるだろ。回復魔法使いなんだから」
「方針?」
「……無理に、決まっていますっ。勇者様もいないのに、20階層なんて! 私、死にたくないっ」
震えていた女の子が涙を流しながらそう訴える。私は両者に視線を滑らせて状況を察してため息をつく。
「おいおい、俺は勇者と同じS級ランクに昇格した冒険者だぞ? 勇者にできることが俺にできないわけないだろ? お前は黙って回復してりゃいいんだよ。それしか能がないんだから」
もう十分だ。これ以上の話を聞く価値はないので、私は片手でしっしっと大男に手を払い、片手で女の子に触れる。私が触れた箇所が一瞬光り、次の瞬間には元通りの腕に戻っていた。
ドアの外で切羽詰まったような声がして、シェイナはドアを開ける。
姿を現したのは、私も見かけたことがあるギルドのアルバイトの女の子だ。
「一階でトラブルがありまして」
「トラブル? 一体何が?」
「実はS級ランクの冒険者さんが暴れていて。アルさんが止めてくれているんですが、ヒーラーの子が怪我をしているみたいでっ」
「シェイナ、私が出るわ」
私は整えてもらった格好が着崩れないように注意しながら歩く。
「セリシア様、S級ランクが暴れていてはお怪我をされるかもしれません。怪我人回復のためにもセリシア様はここに残って」
「だから私が出るの。せっかく可愛くしてもらったんだもの、閉じこもっているなんて勿体無いわ」
シェイナの静止を遮って、私は慣れない高いヒールを鳴らして歩く。ああ、これなんかの訓練に似ているかも。体幹鍛えられそうと変なことを考えながら私は笑う。
「いろいろ教えてもらったお礼に、すぐギルドを静かにしてあげるわ」
そういい残して、私は1階に向かって走り出した。
階段を飛び降りた私の目に入ったのは、ギルドのエントランスで両手に武器を嵌めた屈強な大男を中心に柄の悪い人相をした様々な武器を持った男女が5人。視線を流した先にアルとその後ろに震えるように疼くまる女の子の姿を目で確認した。
「おいおい、うちのパーティの貴重な回復職なんだ。返してくれよ」
「女の子怪我させといて何いってるんだか。嫌がってるし、この子オタクらのグループ抜けたいんだってよ」
大男からの圧などまるで効かないとばかりにアルはにこやかに対峙する。
「お前みたいにナイト気取りの優男って言うのが一番ムカつくんだ。女にきゃーきゃー騒がれて、いい気になるなよ。弱ぇくせに、捻り潰すぞ」
「アル、怪我してるのってその子?」
「ちょうどよかった、シ」
私を見たアルの言葉が途切れる。
「シ……ア?」
「なんで疑問系? 私だよ」
まぁ自分でもびっくりするくらいいつもと違うから気持ちは分かるけど。
私は震えている子に近づいて様子を見る。腕が、ありえない方に曲がっていた。
「なんで、この子こんな怪我をしているの?」
一応、事実確認は必要かなと思い聞いてあげる。
「はっ、守られているだけの後衛職のくせに俺様の方針にたてついたから躾けてやっただけだ。その程度、自分で治せるだろ。回復魔法使いなんだから」
「方針?」
「……無理に、決まっていますっ。勇者様もいないのに、20階層なんて! 私、死にたくないっ」
震えていた女の子が涙を流しながらそう訴える。私は両者に視線を滑らせて状況を察してため息をつく。
「おいおい、俺は勇者と同じS級ランクに昇格した冒険者だぞ? 勇者にできることが俺にできないわけないだろ? お前は黙って回復してりゃいいんだよ。それしか能がないんだから」
もう十分だ。これ以上の話を聞く価値はないので、私は片手でしっしっと大男に手を払い、片手で女の子に触れる。私が触れた箇所が一瞬光り、次の瞬間には元通りの腕に戻っていた。