【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
「シアっ! やっと見つけた」
そんな風にぼんやり眺めていたら、後ろから聞き慣れた声がした。
「アル、どうしたの?」
「どうしたの、じゃない。こんな夜更けにそんな格好で一人で彷徨いて、何かあったらどうするの」
アルはやや怒った口調で、私のそばまで来てそういった。どうやら心配をかけたらしい。
「何もないわよ」
私は満月を仰いで、そうつぶやく。
「だってほら、今日はこんなに月が綺麗」
力が満ちているから、きっと何か起こったとしても、私が負ける事はないだろう。
アルは呆れたような、困ったような顔をして、私の肩にカーディガンをかけた。
「シアは、自分が女の子なんだって、もっと自覚してほしい」
そう言って、私のことを抱きしめた。
「……あんなに、小さかったのに……なぁ」
耳元でかろうじて聞き取れるかどうかくらいの声量で、アルはつぶやくように、そういった。
「アル?」
それは一体、どういう意味だろう?
私が聞き返すよりも早く、アルは私と手をつないで、家のほうに歩き出す。
「その部屋着どうしたの?」
「シェイナがくれた。変?」
「変、じゃない。むしろ似合ってるけども、露出が多い。聖女がそういうの着て出歩かないの」
「……意味が分からない」
まぁ確かに露出してる服なんてほぼほぼ着た事なかったけれど、私は昼間の服もこの部屋着も可愛いと思っているし、シェイナも褒めてくれた。
アルも似合っているって言ってくれたのに着たらいけないなんて理不尽だ。
私はまた子どもっぽく拗ねそうになって、はっとしてシェイナのアドバイスを思い出す。
『分からない事は素直に言葉にして聞いてみたらいいんですよ。拗ねているだけでは何も伝わりませんよ? ああ、ついでに尋ねるときは思いっきり腕に抱きついてみたらいいですよ。今まで合っていない下着と服のせいでせっかくの武器が活かされてなかったようなので』
私が持ってる武器とは何なのかシェイナは笑うだけで結局最後まで教えてくれなかったが、昼間の一件でシェイナのアドバイスは聞いた方がいいと学んだ私は素直に実践する事にした。
「ねぇアル、今何を考えているの? どうして怒っているの? この服そんなに嫌い? 露出多いとなんでダメなの?」
繋いでいた手を離してアルの腕にぎゅっと抱きつき、私は素直に尋ねる。アルは驚いた顔で紅茶色の瞳を大きくし、硬直した。
「シア、誰の入れ知恵だろうか?」
「……? シェイナがモノを尋ねるときはこうするといいって言ってた」
「……無自覚で無双するのは聖女の力だけにして欲しい。あとコレ、他の男にやったらダメ、絶対」
ため息混じりにそう言ったアルは大きな手で、子どもにするみたいに私の頭を撫でる。
「……ホント、いつまでも子どもでいてくれたらいいのに」
ヒトの気苦労も知らないでと苦笑するアルを見ながら、疑問だけが増えていく私は首を傾げる。
そんな風にぼんやり眺めていたら、後ろから聞き慣れた声がした。
「アル、どうしたの?」
「どうしたの、じゃない。こんな夜更けにそんな格好で一人で彷徨いて、何かあったらどうするの」
アルはやや怒った口調で、私のそばまで来てそういった。どうやら心配をかけたらしい。
「何もないわよ」
私は満月を仰いで、そうつぶやく。
「だってほら、今日はこんなに月が綺麗」
力が満ちているから、きっと何か起こったとしても、私が負ける事はないだろう。
アルは呆れたような、困ったような顔をして、私の肩にカーディガンをかけた。
「シアは、自分が女の子なんだって、もっと自覚してほしい」
そう言って、私のことを抱きしめた。
「……あんなに、小さかったのに……なぁ」
耳元でかろうじて聞き取れるかどうかくらいの声量で、アルはつぶやくように、そういった。
「アル?」
それは一体、どういう意味だろう?
私が聞き返すよりも早く、アルは私と手をつないで、家のほうに歩き出す。
「その部屋着どうしたの?」
「シェイナがくれた。変?」
「変、じゃない。むしろ似合ってるけども、露出が多い。聖女がそういうの着て出歩かないの」
「……意味が分からない」
まぁ確かに露出してる服なんてほぼほぼ着た事なかったけれど、私は昼間の服もこの部屋着も可愛いと思っているし、シェイナも褒めてくれた。
アルも似合っているって言ってくれたのに着たらいけないなんて理不尽だ。
私はまた子どもっぽく拗ねそうになって、はっとしてシェイナのアドバイスを思い出す。
『分からない事は素直に言葉にして聞いてみたらいいんですよ。拗ねているだけでは何も伝わりませんよ? ああ、ついでに尋ねるときは思いっきり腕に抱きついてみたらいいですよ。今まで合っていない下着と服のせいでせっかくの武器が活かされてなかったようなので』
私が持ってる武器とは何なのかシェイナは笑うだけで結局最後まで教えてくれなかったが、昼間の一件でシェイナのアドバイスは聞いた方がいいと学んだ私は素直に実践する事にした。
「ねぇアル、今何を考えているの? どうして怒っているの? この服そんなに嫌い? 露出多いとなんでダメなの?」
繋いでいた手を離してアルの腕にぎゅっと抱きつき、私は素直に尋ねる。アルは驚いた顔で紅茶色の瞳を大きくし、硬直した。
「シア、誰の入れ知恵だろうか?」
「……? シェイナがモノを尋ねるときはこうするといいって言ってた」
「……無自覚で無双するのは聖女の力だけにして欲しい。あとコレ、他の男にやったらダメ、絶対」
ため息混じりにそう言ったアルは大きな手で、子どもにするみたいに私の頭を撫でる。
「……ホント、いつまでも子どもでいてくれたらいいのに」
ヒトの気苦労も知らないでと苦笑するアルを見ながら、疑問だけが増えていく私は首を傾げる。