【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
27.その聖女、釣りに誘われる。
釣り大会当日。
「はぁーい! それでは皆さま豪華賞品目指してがんばりましょー」
シェイナの進行で楽しげに始まったその催しは、会場に屋台が多数出店しており大いに盛り上がっていた。
だけど、現在の私のテンションは下降の一途をたどっている。
「ねぇ、今日は釣りをしに来たのよね?」
楽しげな音楽を遠くで聞きながら、私はラウルに確認する。
「釣り大会だね〜」
私の隣で涼しい顔でそう言ったラウルは、
「大物釣れるといいね!」
攻撃魔法を多重展開させる。
バッシャーン。
凄まじい水飛沫を浴びながら、私は両手に銃を構える。
『ウゥ……ガァぁぁあぁあー』
耳障りな低音で唸り声を上げ、紅く光る両目で私達を見下ろすソレ。
「シア」
「分かってる」
標的から目を離さず短く返事をした私は、2丁の銃を連射する。
狙いをラウルから私に変えたソレは、長い尻尾を駆使して私を潰しにくる。吐き出された毒性の体液を結界で弾き、再び銃撃を繰り返す。
的は大きいが何分皮膚が厚くなかなか倒れない。しばらくの攻防ののち、ドシーンっと、大きく地面が揺れソレは私の足元に崩れ落ちた。
「流石だね、シア」
パチパチと拍手をしながら私の側にやってきたラウルを振り返り、私はため息を漏らす。
「ラウル様、コレは釣りじゃない。"狩猟"っていうのよ!!」
私は先ほど倒したソレ、つまりここら一帯を我が物顔で支配している魔物、枯毒竜の一匹を指さしながらそう叫んだ。
☆
時刻は3時間前に遡る。
「ねぇ、待って。この目録おかしい」
私は本日予定されている釣り大会の賞品の最終チェックを行なっていた。
「賞品沢山、夢いっぱい。皆さまのやる気、特に恋する乙女のゲージは振り切って殺気だってますねぇ!」
楽しみですねなんてのほほーんとシェイナはそう話すが、私にはツッコミどころしかない。
「賞品、いつの間にこんなにたくさん増やしたの!? それはまぁいいとして、この『あなたがご主人!? アル様1日デート券』って何よ!」
全くもって初耳ですが、と訴える私に、
「ギルドマスターが女の子の参加者が少ないって嘆くからさぁ、僕が追加しといた。あぁ他の賞品についても気にしなくていいよ。シアからもらった、魔石。あれの売却金額で賄っているから」
いつの間にかギルドの住人と化している、大賢者がとても胡散臭い笑顔をキラキラと浮かべながら、優雅に紅茶を飲んでそういった。
「いや、デート券って。これ本人の許可とってあるの?」
アルが困りそうなことなんだけど、と私が1番気になっているところを尋ねると、
「もちろん、本人の許可を得ているよ」
そう当たり前のように、ラウルは言った。
本人が許可を出している。私はその言葉に素直に驚き、胸の奥が苦しくなった。
「はぁーい! それでは皆さま豪華賞品目指してがんばりましょー」
シェイナの進行で楽しげに始まったその催しは、会場に屋台が多数出店しており大いに盛り上がっていた。
だけど、現在の私のテンションは下降の一途をたどっている。
「ねぇ、今日は釣りをしに来たのよね?」
楽しげな音楽を遠くで聞きながら、私はラウルに確認する。
「釣り大会だね〜」
私の隣で涼しい顔でそう言ったラウルは、
「大物釣れるといいね!」
攻撃魔法を多重展開させる。
バッシャーン。
凄まじい水飛沫を浴びながら、私は両手に銃を構える。
『ウゥ……ガァぁぁあぁあー』
耳障りな低音で唸り声を上げ、紅く光る両目で私達を見下ろすソレ。
「シア」
「分かってる」
標的から目を離さず短く返事をした私は、2丁の銃を連射する。
狙いをラウルから私に変えたソレは、長い尻尾を駆使して私を潰しにくる。吐き出された毒性の体液を結界で弾き、再び銃撃を繰り返す。
的は大きいが何分皮膚が厚くなかなか倒れない。しばらくの攻防ののち、ドシーンっと、大きく地面が揺れソレは私の足元に崩れ落ちた。
「流石だね、シア」
パチパチと拍手をしながら私の側にやってきたラウルを振り返り、私はため息を漏らす。
「ラウル様、コレは釣りじゃない。"狩猟"っていうのよ!!」
私は先ほど倒したソレ、つまりここら一帯を我が物顔で支配している魔物、枯毒竜の一匹を指さしながらそう叫んだ。
☆
時刻は3時間前に遡る。
「ねぇ、待って。この目録おかしい」
私は本日予定されている釣り大会の賞品の最終チェックを行なっていた。
「賞品沢山、夢いっぱい。皆さまのやる気、特に恋する乙女のゲージは振り切って殺気だってますねぇ!」
楽しみですねなんてのほほーんとシェイナはそう話すが、私にはツッコミどころしかない。
「賞品、いつの間にこんなにたくさん増やしたの!? それはまぁいいとして、この『あなたがご主人!? アル様1日デート券』って何よ!」
全くもって初耳ですが、と訴える私に、
「ギルドマスターが女の子の参加者が少ないって嘆くからさぁ、僕が追加しといた。あぁ他の賞品についても気にしなくていいよ。シアからもらった、魔石。あれの売却金額で賄っているから」
いつの間にかギルドの住人と化している、大賢者がとても胡散臭い笑顔をキラキラと浮かべながら、優雅に紅茶を飲んでそういった。
「いや、デート券って。これ本人の許可とってあるの?」
アルが困りそうなことなんだけど、と私が1番気になっているところを尋ねると、
「もちろん、本人の許可を得ているよ」
そう当たり前のように、ラウルは言った。
本人が許可を出している。私はその言葉に素直に驚き、胸の奥が苦しくなった。