【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
シアは随分小柄な方だし、寝顔を見ていると幼く感じるが、近くで彼女の高い魔力を感じ、本当にもう大人になってしまったんだなと実感する。
「それにしても、なんでこんなぶかぶかな羽織りなんか着てるんだか」
まぁ寝るにはいいのか? と思いながらシアをそっとベッドに下ろそうとしたところで
「……アル?」
と寝ぼけた声で名前を呼ばれた。
「起こしちゃったね」
まだ寝てていいよと静かにそういうと、シアは腕を首に回してきて子どものように抱きついてきた。
どうやら本当に寝ぼけているらしいと察したアルは苦笑しながら寝かしつけるようにトントンと背中を叩く。
「寒い」
「早くベッドに入りなよ」
「ん〜……一緒、寝る」
子どものようにそう言って、イヤイヤと首を振る。
「寝るの」
と寝ぼけながらそう言って離してくれそうにない。仕方ないなと寝付くまで添い寝することに決めたアルは一緒にベッドに入ると、シアは寝ぼけたまま身体を寄せてくる。
アルがトントンと背を叩くと、シアは幸せそうに笑った。
「あったかい」
「シアの体温の方が高いと思うけど」
「アル、おかえり」
「ん、ただいま」
「アル、おやすみ」
「ハイハイ、おやすみなさい」
落ち着いたのか、そのまますぐシアは眠りに落ちる。
「ふふ、こうして見たらやっぱりまだまだ子どもだな」
シアの規則正しい寝息を聞いて、アルはとても穏やかに笑う。
そっと顔にかかった髪を払ってやって、その寝顔を見つめながら、今度はちゃんとシアと話をして、さよならをしようと決める。
シアが大事だから、彼女が危ない目に遭う事がない様に。
「……アル」
「うん?」
名前を呼ばれたが、その先はなかったので寝言らしい。シアの夢に出るほど、近い存在なら悪くないなと思ったところで、
「……大好き」
にへらっと子どものような笑顔を浮かべて無防備にシアはそう言った。
やはりその先はなく起きた様子もない。
そのあとは寝言もなく、ただ規則正しく寝息が聞こえるだけ。
「本当にどんな夢を見ているんだか」
呆れたような、困ったような感情を紅茶色の瞳に浮かべて、アルはシアの髪を撫でる。
起きる気配のない無防備な彼女はされるがままで、何も知らない純真無垢な存在に見える。
「……はぁ、何、この可愛い生き物は」
抱きしめるわけにはいかないので、アルはそのままシアを鑑賞しながら、ラウルの言葉を思い出す。
『大事に、護って、育てて、そして最期は自らの手で手折るのか?』
そんな事はしない。
だけど、とは思う。
「俺、こんな無防備な生き物を本当に他の野郎にやれるのか?」
吐き出された自問の解を得ることはなく、長い魔族の生で子など持ったことはないが、娘を嫁に出す父親とはこんな心境なのだろうかとそんなことを想像して苦笑した。
「それにしても、なんでこんなぶかぶかな羽織りなんか着てるんだか」
まぁ寝るにはいいのか? と思いながらシアをそっとベッドに下ろそうとしたところで
「……アル?」
と寝ぼけた声で名前を呼ばれた。
「起こしちゃったね」
まだ寝てていいよと静かにそういうと、シアは腕を首に回してきて子どものように抱きついてきた。
どうやら本当に寝ぼけているらしいと察したアルは苦笑しながら寝かしつけるようにトントンと背中を叩く。
「寒い」
「早くベッドに入りなよ」
「ん〜……一緒、寝る」
子どものようにそう言って、イヤイヤと首を振る。
「寝るの」
と寝ぼけながらそう言って離してくれそうにない。仕方ないなと寝付くまで添い寝することに決めたアルは一緒にベッドに入ると、シアは寝ぼけたまま身体を寄せてくる。
アルがトントンと背を叩くと、シアは幸せそうに笑った。
「あったかい」
「シアの体温の方が高いと思うけど」
「アル、おかえり」
「ん、ただいま」
「アル、おやすみ」
「ハイハイ、おやすみなさい」
落ち着いたのか、そのまますぐシアは眠りに落ちる。
「ふふ、こうして見たらやっぱりまだまだ子どもだな」
シアの規則正しい寝息を聞いて、アルはとても穏やかに笑う。
そっと顔にかかった髪を払ってやって、その寝顔を見つめながら、今度はちゃんとシアと話をして、さよならをしようと決める。
シアが大事だから、彼女が危ない目に遭う事がない様に。
「……アル」
「うん?」
名前を呼ばれたが、その先はなかったので寝言らしい。シアの夢に出るほど、近い存在なら悪くないなと思ったところで、
「……大好き」
にへらっと子どものような笑顔を浮かべて無防備にシアはそう言った。
やはりその先はなく起きた様子もない。
そのあとは寝言もなく、ただ規則正しく寝息が聞こえるだけ。
「本当にどんな夢を見ているんだか」
呆れたような、困ったような感情を紅茶色の瞳に浮かべて、アルはシアの髪を撫でる。
起きる気配のない無防備な彼女はされるがままで、何も知らない純真無垢な存在に見える。
「……はぁ、何、この可愛い生き物は」
抱きしめるわけにはいかないので、アルはそのままシアを鑑賞しながら、ラウルの言葉を思い出す。
『大事に、護って、育てて、そして最期は自らの手で手折るのか?』
そんな事はしない。
だけど、とは思う。
「俺、こんな無防備な生き物を本当に他の野郎にやれるのか?」
吐き出された自問の解を得ることはなく、長い魔族の生で子など持ったことはないが、娘を嫁に出す父親とはこんな心境なのだろうかとそんなことを想像して苦笑した。