【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
「昔、娼館のお姉様方に言われたの。押してダメなら押し倒せって。案外、有効なのかしらって。ほら、アルって世話好きの上に押しに弱いじゃない?」
まだ押してすらないけど、と笑ってお姉様方の名言を教える。
「なんで娼館!? と気になるところですが、不純異性交遊ダメ、絶対。というか、お姉さん的にはまずは健全に告白するあたりから始めて欲しいです」
アウトーと大きくバッテンを作って私を止めるシェイナに、
「だから、まだやってないってば。というか、誰ともそういうことした事ないから」
だって、ほら私は国で管理された聖女だったじゃない? と苦笑する。
「これからもやったらダメです。アウトです。私セリシア様には"恋せよ! 乙女"くらいでいて欲しい」
「ちなみに娼館は修行時代に勇者様に連れて行かれたわ。私はお姉様方に色々教えてもらいながら待ってた」
13〜15才の時かなぁと懐かしそうに私は話す。
「……色々、とは?」
「下手な男ほど自慢げによく喋るとか、冒険者や為政者の懐事情とか、お金の巻き上げ方とか」
他にも娼館のお姉様方に吹き込まれた数多の名言と知識を披露するが、耐えかねたシェイナが、
「今すぐ、忘れてください! いたいけな子どもに何吹き込んでるんですか!! というか、ノエルは娼館通いなんてしてるんですか!?」
と止め、イラっとしたように私に問う。
「してないよ。勇者様とその御一行の冒険者達は男の人ばっかりで、夜飲み歩くのに未成年を連れていけないからって、娼館に置いて行かれてただけ。子ども一人だと危ないし」
何か地雷を踏んだらしいので、一応ノエルのフォローをするが、
「碌な大人がいやしない。……セリシア様、よく今までご無事でしたね」
よしよしと子どもみたいに私を撫でて、シェイナはノエルめっと舌打ちした。
「全く、ノエルにも困ったものね」
とため息をついたシェイナに気になったことを尋ねる。
「……いつから名前で呼ぶ間柄になったの?」
ノエルがラスティに居着いていたときはまだ勇者様呼びだったはずなのに、と首を傾げる私に、
「……大人の事情、です」
ふふっとシェイナはキレイに笑って人差し指を唇に当てる。
「付き合ってるの?」
そういえばずっと一緒にいたなと思い出し、マジマジと見ながら尋ねるが、シェイナはおかしそうに首を振る。
「いいえ〜ノエルはこんな田舎町に引き留められる人じゃありませんから。それに私は領主の一人娘。いずれはここに留まれる方と家庭を持たねばなりませんので」
ただの憧れですと言い切るシェイナの顔がいつもより少し寂しそうで、私はなんだか胸が苦しくなった。
「後悔、しないの?」
「私、この町が好きなんです。出ていく気はありません。そして、自由に生きているノエルの話を聞くのが好きなのです。たまに、思い出したようにふらっと立ち寄ってくれたとき、会えたら嬉しい、くらいでいいのです」
そんな相手の想い方もあるのかと、シェイナを見て知る。
まだ押してすらないけど、と笑ってお姉様方の名言を教える。
「なんで娼館!? と気になるところですが、不純異性交遊ダメ、絶対。というか、お姉さん的にはまずは健全に告白するあたりから始めて欲しいです」
アウトーと大きくバッテンを作って私を止めるシェイナに、
「だから、まだやってないってば。というか、誰ともそういうことした事ないから」
だって、ほら私は国で管理された聖女だったじゃない? と苦笑する。
「これからもやったらダメです。アウトです。私セリシア様には"恋せよ! 乙女"くらいでいて欲しい」
「ちなみに娼館は修行時代に勇者様に連れて行かれたわ。私はお姉様方に色々教えてもらいながら待ってた」
13〜15才の時かなぁと懐かしそうに私は話す。
「……色々、とは?」
「下手な男ほど自慢げによく喋るとか、冒険者や為政者の懐事情とか、お金の巻き上げ方とか」
他にも娼館のお姉様方に吹き込まれた数多の名言と知識を披露するが、耐えかねたシェイナが、
「今すぐ、忘れてください! いたいけな子どもに何吹き込んでるんですか!! というか、ノエルは娼館通いなんてしてるんですか!?」
と止め、イラっとしたように私に問う。
「してないよ。勇者様とその御一行の冒険者達は男の人ばっかりで、夜飲み歩くのに未成年を連れていけないからって、娼館に置いて行かれてただけ。子ども一人だと危ないし」
何か地雷を踏んだらしいので、一応ノエルのフォローをするが、
「碌な大人がいやしない。……セリシア様、よく今までご無事でしたね」
よしよしと子どもみたいに私を撫でて、シェイナはノエルめっと舌打ちした。
「全く、ノエルにも困ったものね」
とため息をついたシェイナに気になったことを尋ねる。
「……いつから名前で呼ぶ間柄になったの?」
ノエルがラスティに居着いていたときはまだ勇者様呼びだったはずなのに、と首を傾げる私に、
「……大人の事情、です」
ふふっとシェイナはキレイに笑って人差し指を唇に当てる。
「付き合ってるの?」
そういえばずっと一緒にいたなと思い出し、マジマジと見ながら尋ねるが、シェイナはおかしそうに首を振る。
「いいえ〜ノエルはこんな田舎町に引き留められる人じゃありませんから。それに私は領主の一人娘。いずれはここに留まれる方と家庭を持たねばなりませんので」
ただの憧れですと言い切るシェイナの顔がいつもより少し寂しそうで、私はなんだか胸が苦しくなった。
「後悔、しないの?」
「私、この町が好きなんです。出ていく気はありません。そして、自由に生きているノエルの話を聞くのが好きなのです。たまに、思い出したようにふらっと立ち寄ってくれたとき、会えたら嬉しい、くらいでいいのです」
そんな相手の想い方もあるのかと、シェイナを見て知る。