【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
「私は、ここにスローライフを送りに来たの」
聖女として王都にいたときは、ずっと忙しくて、積み上がった仕事をこなすことに精一杯で、何も考えられないような毎日だった。
ここに来て、アルのおかげで時間ができて、私は沢山の事を知って、学んで、経験して、考える事ができた。
スローライフの定義が、日々の生活と丁寧に向き合って、自分の時間を大切に生きていく事なら、間違いなく私がここで過ごした日々はそうなのだろう。
「でも、それは誰かの犠牲の上に成り立たせたかったものじゃない」
ずっと、こんな毎日が続けばいいなと思っていた。
でもそこにアルがいないのなら、それにはきっと何の意味もない。
「私、腹が立っているわ。自分にも、そしてアルにも」
クロードの話を聞いて、アルが子どもの頃の私の前に現れた理由を今更ながら知り、そして結局一緒に背負わせてもらえないほど、私はアルにとって子どもでしかないのだと言う事を知った。
でも、できればそれはクロードではなくアルの口から聞きたかった。
そうできなかったのは、私達がお互いに踏み込む事を躊躇って、言葉を交わす努力を怠ったからだ。
「私に、アルが救えるかなんて分からないわ。神気を差し出せと言うのならいくらでも差し出すけれど、きっとそれは根本的な解決にはならないでしょう?」
そして、きっとアルはそれをとても嫌がり許してくれないだろうことが容易に想像できる。
「クロードが来てくれて良かった。コレで腹が括れそうだわ」
私はクロードに笑いかける。
アルの事を待っているヒトがいる。心配してくれるヒトがいる。
それなら、私はこの名前のない関係にそろそろ終止符を打つべきだろう。
「アルとちゃんと向き合って話してみる。それでもダメならプランBを強行するわ」
私はクロードにそう宣言する。
「プランB、とは?」
「魔ノ国に乗り込む。ヒトの国への影響も魔ノ国での異変も突き詰めれば根本的な原因は瘴気の濃さとそれを管理してくれるヒトがいない事でしょ? 私ほどうってつけの人間いなくない?」
このまま各地の異変を放っておけば、どうせ召集されかねない。
「魔王が一番強くて瘴気管理できる者なら、聖女から魔王にジョブチェンジも有りかもしれないわね」
今のアルなら倒せそうな気がするし、子どもの頃実際倒した実績だってある。
ドヤ顔でそう言い切った私を見て、しばらく固まっていたクロードは腹を抱えて笑いだす。
「えー結構真面目に考えたんだけど?」
「あはは、いえ、血だなぁって」
セイカ様が乗り込んできた時を思い出しますと、楽しそうに笑ったクロードは、
「乗り込んでウチの城を制圧できた暁には誠心誠意お仕えしますよ、魔王さま」
恭しく礼をした。
「あら、悪くない響き。その時はよろしくね」
できたらプランBにならない方がいいけれど、と思いながら、私はアルと向き合う決意を固めた。
聖女として王都にいたときは、ずっと忙しくて、積み上がった仕事をこなすことに精一杯で、何も考えられないような毎日だった。
ここに来て、アルのおかげで時間ができて、私は沢山の事を知って、学んで、経験して、考える事ができた。
スローライフの定義が、日々の生活と丁寧に向き合って、自分の時間を大切に生きていく事なら、間違いなく私がここで過ごした日々はそうなのだろう。
「でも、それは誰かの犠牲の上に成り立たせたかったものじゃない」
ずっと、こんな毎日が続けばいいなと思っていた。
でもそこにアルがいないのなら、それにはきっと何の意味もない。
「私、腹が立っているわ。自分にも、そしてアルにも」
クロードの話を聞いて、アルが子どもの頃の私の前に現れた理由を今更ながら知り、そして結局一緒に背負わせてもらえないほど、私はアルにとって子どもでしかないのだと言う事を知った。
でも、できればそれはクロードではなくアルの口から聞きたかった。
そうできなかったのは、私達がお互いに踏み込む事を躊躇って、言葉を交わす努力を怠ったからだ。
「私に、アルが救えるかなんて分からないわ。神気を差し出せと言うのならいくらでも差し出すけれど、きっとそれは根本的な解決にはならないでしょう?」
そして、きっとアルはそれをとても嫌がり許してくれないだろうことが容易に想像できる。
「クロードが来てくれて良かった。コレで腹が括れそうだわ」
私はクロードに笑いかける。
アルの事を待っているヒトがいる。心配してくれるヒトがいる。
それなら、私はこの名前のない関係にそろそろ終止符を打つべきだろう。
「アルとちゃんと向き合って話してみる。それでもダメならプランBを強行するわ」
私はクロードにそう宣言する。
「プランB、とは?」
「魔ノ国に乗り込む。ヒトの国への影響も魔ノ国での異変も突き詰めれば根本的な原因は瘴気の濃さとそれを管理してくれるヒトがいない事でしょ? 私ほどうってつけの人間いなくない?」
このまま各地の異変を放っておけば、どうせ召集されかねない。
「魔王が一番強くて瘴気管理できる者なら、聖女から魔王にジョブチェンジも有りかもしれないわね」
今のアルなら倒せそうな気がするし、子どもの頃実際倒した実績だってある。
ドヤ顔でそう言い切った私を見て、しばらく固まっていたクロードは腹を抱えて笑いだす。
「えー結構真面目に考えたんだけど?」
「あはは、いえ、血だなぁって」
セイカ様が乗り込んできた時を思い出しますと、楽しそうに笑ったクロードは、
「乗り込んでウチの城を制圧できた暁には誠心誠意お仕えしますよ、魔王さま」
恭しく礼をした。
「あら、悪くない響き。その時はよろしくね」
できたらプランBにならない方がいいけれど、と思いながら、私はアルと向き合う決意を固めた。