【コミカライズ企画進行中】捨てられ聖女は働かないっ!〜追放されたので念願のスローライフはじめます〜
「もう、本当は猶予なんてないくらい、アルは弱っているんじゃないの?」
「……そうだね」
誤魔化しが効かないと悟ったように、アルは静かに肯定した。
「初めてアレを見た日から私はずっと、解呪の方法を探してた」
呪詛返しができれば楽だけれど、それをしたくとも、かけた相手がこの世におらず、返す先がない呪い。
最終的に出てきた死神に捕まったらアウトで死神を返り討ちにしても、必ず何かが持っていかれるという厄介な呪いだ。
「だからね、返す先がないのなら、返す当てを作ればいいんじゃないかなって」
私の提案に、アルの紅茶色の目は拒絶を示すが、私は構わず話を進める。
「あの呪いの原動力は元は私の魔力というか聖女の力よ。だから私が呪いを引き受ける。そして、一度成就させようと思うの」
暴走し、切り離されたとは言え元は私のモノなのだ。今なら制御できないこともないだろう。
「そんなこと、させられるわけないだろ!!」
「死ぬ気はないわ。私とアルなら勝率かなり高いと踏んでるし」
解呪のための材料ならもうすでに揃っている。あとはアルを説得できるかどうかだ。
「満月の夜なら、きっとできると思うから」
「万が一でも、シアに危険がある事なんてさせられない」
「そういうところ!」
私はため息混じりに指摘して、アルの前で仁王立ちする。
「もう、この際だからハッキリ言うけど、私いつまでも子どもじゃないし、私だってアルに1人で危険なことされるの嫌だし、何なら何にも話してくれないことにすっごく腹立たしいと思ってるから」
私の剣幕に驚いたように紅茶色の瞳が大きくなる。
「アルは大概のことなんでもできてしまうかもしれないけど、私だって頼られたいのよ」
魔族は総じて能力が高い。魔王クラスならチートと言っても過言ではない。
何十もの魔族を一瞬で蹴散らして、誓約魔法を勝手に解除して、呪いを自分に移して肩代わりしたあげく、記憶封じまで施した状態で魔ノ国を管理していたのだ。
だけど、今の私ならできる事だってあるはずだ。
「約束、したじゃないっ! ずっと一緒にいるって。大人になっても、ずっと一緒にいてアルの事守ってあげるって言ったじゃない!! ……私にも、約束守らせてよ」
絶対泣かないつもりだったのに、感情が昂った私は子どもみたいにボロボロ涙を流しながら、思いの丈をアルにぶつける。
「私の、これから先のスローライフに、アルが居てくれないと困るの。朝起きて、アルと一緒にごはんを食べたい。たまにお日様の下でふかふかに干した布団に寝っ転がって一緒に昼寝したり、満月の夜は一緒にデートするの。そんな、私の毎日の生活の中にずっとアルに居て欲しい。だから、アルがしんどい時は、半分くらい私にも分けてよ」
私は大好きなアルに泣き顔のまま言葉を紡ぐ。
「私は、アルが魔族だとか関係なく、アルの事が大好きだから。きっと、これから先、ずっと、永遠に」
きっと他の女の子達みたいに可愛くなんてできてないだろうけれど、これが私の精一杯の愛情の形だった。
「……そうだね」
誤魔化しが効かないと悟ったように、アルは静かに肯定した。
「初めてアレを見た日から私はずっと、解呪の方法を探してた」
呪詛返しができれば楽だけれど、それをしたくとも、かけた相手がこの世におらず、返す先がない呪い。
最終的に出てきた死神に捕まったらアウトで死神を返り討ちにしても、必ず何かが持っていかれるという厄介な呪いだ。
「だからね、返す先がないのなら、返す当てを作ればいいんじゃないかなって」
私の提案に、アルの紅茶色の目は拒絶を示すが、私は構わず話を進める。
「あの呪いの原動力は元は私の魔力というか聖女の力よ。だから私が呪いを引き受ける。そして、一度成就させようと思うの」
暴走し、切り離されたとは言え元は私のモノなのだ。今なら制御できないこともないだろう。
「そんなこと、させられるわけないだろ!!」
「死ぬ気はないわ。私とアルなら勝率かなり高いと踏んでるし」
解呪のための材料ならもうすでに揃っている。あとはアルを説得できるかどうかだ。
「満月の夜なら、きっとできると思うから」
「万が一でも、シアに危険がある事なんてさせられない」
「そういうところ!」
私はため息混じりに指摘して、アルの前で仁王立ちする。
「もう、この際だからハッキリ言うけど、私いつまでも子どもじゃないし、私だってアルに1人で危険なことされるの嫌だし、何なら何にも話してくれないことにすっごく腹立たしいと思ってるから」
私の剣幕に驚いたように紅茶色の瞳が大きくなる。
「アルは大概のことなんでもできてしまうかもしれないけど、私だって頼られたいのよ」
魔族は総じて能力が高い。魔王クラスならチートと言っても過言ではない。
何十もの魔族を一瞬で蹴散らして、誓約魔法を勝手に解除して、呪いを自分に移して肩代わりしたあげく、記憶封じまで施した状態で魔ノ国を管理していたのだ。
だけど、今の私ならできる事だってあるはずだ。
「約束、したじゃないっ! ずっと一緒にいるって。大人になっても、ずっと一緒にいてアルの事守ってあげるって言ったじゃない!! ……私にも、約束守らせてよ」
絶対泣かないつもりだったのに、感情が昂った私は子どもみたいにボロボロ涙を流しながら、思いの丈をアルにぶつける。
「私の、これから先のスローライフに、アルが居てくれないと困るの。朝起きて、アルと一緒にごはんを食べたい。たまにお日様の下でふかふかに干した布団に寝っ転がって一緒に昼寝したり、満月の夜は一緒にデートするの。そんな、私の毎日の生活の中にずっとアルに居て欲しい。だから、アルがしんどい時は、半分くらい私にも分けてよ」
私は大好きなアルに泣き顔のまま言葉を紡ぐ。
「私は、アルが魔族だとか関係なく、アルの事が大好きだから。きっと、これから先、ずっと、永遠に」
きっと他の女の子達みたいに可愛くなんてできてないだろうけれど、これが私の精一杯の愛情の形だった。