可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「つまらんデザインだな」


後ろから声が聞こえた、ドアを開けっぱなしにしていたから。つい興奮が止まらなくて閉めるのを忘れていたそのドアにスーツにハット姿の人物はもたれかかるように立っていた。


「こんなの着せられるモデルが可哀想だ」


KAZUSHIー…!?


どうしてここにっ

「…~っ、急に来てなんだよ!テキトーなこと言ってんじゃねぇよ!」

「テキトーなことではない。…だが適当は条件や目的にに上手く当てはまるふさわしいなどという意味もある。当てはまってるかもしれないな」

刺さるような視線がドレスに注がれる。

「こんなドレス、モデルが着るには適当ではない」

一切表情を変えず、眉毛ひとつ動かしてなかった。まるで表情筋を動かすことさえめんどうに感じるように。

「可哀想で仕方ないな」

「なんだお前…っ」

一成が息を飲んだ音が聞こえた。

「ふざけるなよ…!」

「ふざけてなどいない、真面目に話している」

KAZUSHIの冷淡な態度とは裏腹に一成の声はどんどん荒げて、今にもKAZUSHIのことを掴みに行きそうな勢いだった。

「それがテキトーだろ!バカにするのもいい加減にしろよ!」

「一成、落ち着いてっ」

ここまで感情を露わにする一成は見たことなくて、グッと体を掴んで引き止めた。

「ただ気に入らなくて言ってんだろ!?」

さすがに暴力とか、そーゆうのはよくない!
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