可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「なんだよあいつ…っ、何なんだよ…っ!!」

感情をむき出しにして、泣きそうな声だった。

あのいつもで自信いっぱいな一成がこんなに悲痛な声を上げるなんて。

「一成…!」

「ナノ」

駆け寄ろうと思った、何を言えばいいのかまだわかっていなかったけどそばに駆け寄りたくて。


抱きしめたかった。


「今日はもういい」

「え…?」

なのに、突然線を引かれた。

俯いたままこっちを見てはくれなくて、荒げていた声が急に静かになったのが気になった。

「今日は帰ってくれ」

「え、でも…っ!ドレスの試着…するんでしょ?合わせるってっ」

「もういい」

「でもっ」

ズルッと壁から一成の手がずり落ちる。私から顔をそむけ、アトリエから出て行こうと歩き出した。

「もういいから」

「ちょっと待ってよ!」

何がもういいの?どうして一成が出て行くの?

「一成…!」

ドレスを置いていくようなことしないでよ…っ!

「一成ってばっ」

私のことだって…っ

「…頼ってくれないの?」

聞こえていなかった、スタスタと廊下を歩いて行く一成の背中には。


届いていなかった。
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