可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
アトリエと言ってもただの教室、をちょっと改装したところ。
大きさ的には私たちが普段使ってる教室よりちょっと小さいくらいで、そう思えるのはたぶんデザイン集だったりスケッチブックだったりミシンやトルソー、布にリボンに紐にたくさん服を作るのに必要な道具や材料が置いてあるから。

服飾科はみんなアトリエ持ってるのかと思ってたら、持ってるのは一成だけらしい。

さっき職員室で先生が教えてくれた。

才能がある選ばれた人しか与えられないんだって。

そんなアトリエの中心できらめきを放ちながら光ってるドレスは学校の教室には似つかわしくなくて。

「…これよりすてきなドレスは見たことないよ」

それはお世辞でも何でもなく、純粋な心でそう思った。


―ガタッ 


アトリエの外で物音が聞こえた、今のはたぶんドアを開けようとしたけど開けられなかった音…

ドアの方に近付いて、耳を立てる。

「ナノ!」


一成だ…!!!


ふぅーっと息を吐いて、ドキドキする胸を押さえて呼吸を整える。

「LINEは見ましたか?」

「見たよ、何だよこれ!」

「そこに書いてある通りです、このアトリエを占拠しました!」


“このドレスは小椋南乃が頂きます。欲しかったら今すぐアトリエに来るように。”
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