可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
女の子だと少し大きくて、昔からそうだったからそれにすごく(さいな)まれた。

「邪魔だとかうざいとか言われて、それで…少しでも目立たないように地味にしようって思って」

嫌味を言われるのも、目を付けられるのも、本当はすごく嫌だったけどどうしようもなくて。
これ以上小さくなれないなら、気配を消すようにひっそり過ごすしかないって…

本当はもっと小さくて可愛い子がよかった。


あの日まではそう思ってた。


「だけどモデルをするのには168センチじゃ全然足りなくてもっと大きい方がよかったなって思っちゃった」

もう地味だとかひっそり過ごそうとかそんなこと考えなくて、なんなら目立つとか目立たないとかそんなこともどうでもいい。


「私、歩きたいの。一成の服を着てランウェイを歩きたい」


夢ができてしまった。


「そんな私を一成に見てほしい」


私に見させてくれた夢を、もっと追いたくなってしまったの。

「だから…」


お願いもう一度、私に自信を持たせて。

何でもいいから、一成が言ってくれるなら何でも。


「ナノ…」



私にこのドレスを着られる勇気を。
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