可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

「ナノはすげぇよ、俺が思ってたより全然すごい。あの日出会った時から俺はお前に夢中だ」

一成の声がドアから響く、また瞳に涙が溜まっていく。前が見えなくなっちゃう。

「ちっとも地味じゃねぇよ、俺の世界を変えたんだから」

ふるふると触れながら両手で顔を押さえて涙を流した。

止まらなくて、泣いてばっかで嫌になっちゃうけどやっぱり私の背中を押してくれるのは一成しかいないから。

「ナノ…、お前じゃなきゃダメだ」

「…っ」

「ドア…開けてくれ、ナノ」

すぅっと息を吸ってドアに手をかける。

カチャッと右に回せば鍵が開く、涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭いて静かに鍵を回した。

「…。」

ゆっくりドアを開ける、上を向いて一成の顔を見るように。

「！」

開いた瞬間、一成の手が背中に回って抱きしめられた。

強い力で引き寄せられ、ぐちゃぐちゃだった顔は一成の胸の中に閉じ込められてしまった。

「ナノ…っ」

「一成…」

「あの日…間違ってなかったよ、ナノを選んで。いや…、ナノが輝いて見えたんだ」

ぎゅぅっと抱きしめられた腕の中は少し痛くて、でも温かくて私の涙腺を刺激する。

もう止められるものはなくて、一成の背中に腕を回してしがみついた。

「ありがとう、きっと1人だったら諦めてた」

一成の声が吐息が、耳から流れ込んで来て。

「でもナノがいる。だから…っ」