可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
バタンッと本を閉じた。

すごかった。

私の語彙力じゃ言い表せられないぐらいすごかった。


だからわかったの、私にはモデルなんて無理だって。

ちゃんと言ってキッパリ諦めてもらおう。


ここは私が踏み入れていい世界じゃない。


「……。」

閉じた本を本棚にしまって図書室から出た。

今日はもう帰って、明日もう一度会って言おう。

できないって伝えなくちゃ。
私じゃない、別の人を探してって…


そう思ってたのに。


「探したぞ、ナノ」

なんでここで現れるの?田所一成。

下駄箱まで向かおうとした廊下で会ってしまった。探したぞって言葉も気になるけど。

「お前に聞きたいことがあって」

「聞きたいこと?」

私の前に立つ、187センチは見上げなきゃ顔が見えない。グーッ顔を上げて、でも何を言われても断るってもう決めたから。

「スリーサイズいくつだ?」

「何聞いてんの!?」

ちょっとドキドキしてた自分が恥ずかしい何その聞きたいことって!
何聞いてくれちゃってんの!?セクハラ!?

「そんなこと言うわけなでしょ!てゆーか聞いてそれくる!?普通…っ」

「服作るには1番大事なことだ」

「…っ」

だからなんでそんな真っ直ぐ私を見て来るの?

やめてほしい、そんな瞳。
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