可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「よし、出来た」

お、終わった…!

ふぅーっと気が抜けて一気に肩が下がった。
めっちゃくちゃ疲れた、立ってるだけなのにこんなに疲れるとは思わないじゃん…

チラッと田所一成の方を見れば私にことなんかもうちっとも見てなくてノートに何かを書きながらぶつぶつと何か言っていた。このサイズならどうとか、スタイルがいいと…

それはちょっと嬉しい。

じゃなくて、自分の世界に入り込んでもう服を作ってるみたいだった。

「あ、あの…」

「ん?」

「私もう帰っても…?」

「あぁ、悪いな付き合ってもらって」

そこで謝られるとちょっと怯むじゃん。

「いえ…」

断ろうと思ってたのに、少し断りにくくなった。

でも言うって決めたのは明日だから、また明日ちゃんと引き受けられないって断れば…いいよね?断れるよね、私…

「あのさっ」

「なんだ?」

もちろん、断る。明日になったら絶対断る。

だけど少し気になってしまったから。

「学祭のファッションショーって、…あなたが全部作るの?」

服を作るって、ぼやっとしかわからない。布から着れるものにするってことぐらいで作り方とかはよくわからなくてどんなものなのか聞いてみたくなった。

「そうだけど」

「それってどんな風に?」

「どんな風ってー…」
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