可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
田所一成が持っていたノートを開いて私に見せた。そこにはたくさんの服のイラストが描いてあった。

「これは俺が考えたデザイン」

鉛筆でササッと描いたものもあれば色を塗ってあるものもあって、たぶん清書というよりは頭の中で出来上がったものをサーっと描いたような。

「これを元にパターンを作る」

「パターン?」

「型紙な、服の形状を紙に書き起こしたやつだ。じゃないと服は作れない」

そっか布からいきなり服になるわけじゃないもんね、型紙がないと服の形にもならないってことか。

「そのパターンを使って布を裁断して裁縫して…」

「あ、クチュリエ!」

ハッとして両手で口を塞いだ。

実彩子から聞いたことを思い出したからつい口走っちゃった。

やばい、今のはなんかいけなかった気がする。だって田所一成の眉がピクッて動いたかから。

「クチュリエ…って呼ばれます、よね??フランス語で男性裁縫師だって…」 

あれなんで?なんで急に空気が重くなったの??

私なんかまずいこと言ったのかな?

もしかしてクチュリエって言っちゃいけない言葉だった!?

みんなが呼んでるからあだ名か何かかと思ったのにー…
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