可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
ドアが開いた瞬間、こないだ来たアトリエとは思えないぐらい新しい世界だった。

よく見えればデザイン画は散らばってるし、布切れが落ちてたり糸が落ちてたりするんだけどそんなことなんか気にならないぐらいドレスしか見えなかったから。

それぐらい目を引くドレスだった。


こんなドレスを作れる田所一成はすごいと思った。


それはきっと私とは違い過ぎる、私はそんな人に選ばれる人間じゃない。

「もったいないよ私には」

選ばれたらいけないんだよ。

「ほらさっき思ったでしょ、みんな同じ服着てたらどこにいるか見付けられないんだよ?せっかくすてきなドレスなのに可哀想だよ、着るのがこんな私じゃ…」

これはきっと私が着るものじゃない、もっとこのドレスを着こなしてくれる人は他にいる。

もっともっとこのドレスの魅力を最大限に生かしてくれる人がー…


「俺はナノがいい」


なんで田所一成って人はこうも真っ直ぐなんだろう。

だから余計に前を向けなくなる。

顔を上げるのが怖くなる。

さっさと諦めてくれたらラクなのに。
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