可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

dress up5.)

“だから俺は絶対にナノを諦めない”

その言葉がやたらと耳に残って、最初はそんなセリフ聞けば聞くほど嫌だったのに…今は思い出しては胸がぽわっと熱くなって、思い返しては心が揺れた。

引き受けるつもりなんてなかったのに。

目立つようなことしたくなかったのに。


何度も何度も強引に腕を引いていくから…





「コンタクト来たんだ?」

「うん、注文してたのが昨日届いて」

朝一、下駄箱で会った実彩子に言われた。ここずーっとメガネだったから、メガネ生活はラクで夏休み明けてもコンタクト注文するの忘れてたんだよね。それでやっと注文して、昨日届いて…

「やっぱそっちのがしっくり来るね」

「そう?」

「うん、メガネ南乃も似合ってたけど私的にはこっちのがしっくり!」

…元々はこっちのが実は平常運転で、家ではメガネだけど学校とか出掛ける時はコンタクトの方が多かったから。

あの時は本当に偶然!コンタクトがなかっただけで…そろそろ買おうかなっていうか、やっぱコンタクトのがいいかなって思っただけで?

別にあんなことを言われたからとかじゃ…ない。

“俺はお前の目がよかったんだよ”

たぶん。

…ん、でもメガネ外した時の目がいいんだっけ?だったらコンタクトじゃ意味ないのかな?

え、それはどっちなの!?
あれ、これは失敗だった間違えた…!?

「やっぱメガネじゃない方がいいな」

「!?」

教室に向かうため歩き出した時、後ろから聞こえた。

「おはよう、ナノ」

「…お、おはよう」

あいさつぐらいは!あいさつは大事だもんね、おはようって言われたらおはようって返すのは基本中の基本で…なんて誰も気にしないのに自分に自分で言い訳してしまった。

「今日から始めるから」

「始める?って何を…」

きょとんとする私の隣に並んでスッと背筋を伸ばした。さらに背が高くなったかと思わせる田所一成がフッと微笑んだ。

「ランウェイを歩くんだからな!」
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