可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

本番も近付いて来た今日の練習はいつものフロアじゃなくて廊下だった。

廊下の端っこに立たされ、これはどんな練習なの？

「廊下を本番のランウェイだと思え！」

「すごい無茶！」

さぁと言われても、廊下(ここ)をランウェイに見立ててなんて無理じゃない！？

いくら人通りの少ない廊下でも全く通らないわけじゃないし気になって見に来てる人いるし！てゆーか目立つんだってクチュリエ！

女の子たちがキャーキャー言ってるの聞こえてるよ…！！

「さぁナノ！」

「…。」

本当にここを歩くの？
どんどん集まって来ちゃってるじゃん、注目されて恥ずかしいんだけど…


「……。」


恥ずかしい…？

恥ずかしいって、何？


本番はもっとすごいお客さんが見に来るんだ。もっと見られるし、もっと注目されるし、こんなもんじゃない。


ここで怯んでたらファッションショーで歩けるわけない…！


「わかった、歩く」

すぅっと息を吸って、ゆっくり深呼吸をする。

グッと目に力を入れて遠くを見据えるように。


無理に胸を張らない、肩を下げて肩甲骨に寄せるイメージで軽く力を抜いて一歩踏み出す…！