可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
後編)

dress up1.)

もう抜け出せないよ、一成から。


目を閉じた、頭の中を一成だけにしたくて。

唇を重ねた、心の中を一成だけにしたくて。



夢中だった、あの瞬間。


冷めやらぬ歓声の中、夢中で…



ねぇ、あのキスはどうゆう意味?



「…深い意味なんかなかったかもしれない」

はぁっと出したくもないタメ息が出る、下駄箱の前。朝から天気はよくて気持ちいのに。

無事、学祭ファッションショーが終わった。

しばらくはアドレナリンが止まらなくてずっとふわふわしてた。次の日も、その次の日も、寝ても覚めても夢の中にいるみたいでどうなっちゃうんだろうって…

「……。」

どうにもならないっぽいですが。

別にこの先どうなるとか期待してたわけじゃないし?
そんな言葉何にも言われてないし、まぁあれはあいさつみたいなもんで…

だってフランス帰りのクチュリエだもん深い意味なんてないよ。


意識してるのは…

私だけで。


「おはよう、ナノ」

「!?」

ちゅっ、と音がする。手の甲から。
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