可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「何!?」

下駄箱から上靴を取り出そうとしてた右手だったけど、スッと後ろから伸びて来た一成の右手に取られそのまま一成の唇へ…

「何って…おはようのあいさつ?」

何もわかってない様子で首を傾げ、純粋な瞳で私を見て来る。

「ここは日本だから!」

な、何なの!?
どーゆうつもりなの…

なんでいっつも急にフランス出して来るのっ!!?

すぐに離してもらおうとグッと一成の手から振り払おうと思ったけど、ガッチリ掴まれて簡単には振りほどけなかった。

「ちょっと離してよっ!」

顔を一成の方に向ける、そしたら一成も私の顔を見るようにして近付いたから…っ

「それともなんだ?足りなかったか?」

「!?」

「手の甲じゃ」

「~っ」

ボンッと顔が赤くなって一気に体温が急上昇する。

「足りてるしいらないし!!」

力強く手を引っ張って無理にでも一成から離れた。フンッと顔をそむけて下駄箱から足早に去っていくように。

何あれ!?なんなのあれ!?


こっちの気も知らないで…!


熱くなった顔を両手で押さえて、息を整えながら教室まで。

でも全然治まらなくて心臓がやばい。バクバク飛び出そうなくらい振動してる。

「…っ」

落ち着かない、落ち着くわけがない。

ずっと離れないんだから、あの日からずっと…



唇の感触が。
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