可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「食べていい?」

「どーぞどーぞ、そのために作って来たんだから」 

リボンをほどくのがちょっともったいないけど、ラッピングと同じくらい可愛く作ってくれたクッキーが嬉しくてまだ授業もホームルームも始まる前1枚だけクッキーを口に入れた。

「おいし~~~!」

「よかったー♡」

もう何年もクッキー食べてなかったみたい、糖分最高…♡

教室の後ろの方、隅っこで壁にもたれながら実彩子の作ってくれたクッキーをかじる。おいし過ぎてペロッと全部食べてしまいそうになる。さくさく、さくさく次から次へと手が止まらなくて、あとついでにザワザワ、ザワザワ周りも私を見て何か言ってる。

でもこのザワつきは前とは少し違って。

「南乃、めっちゃ有名人になったね」

「なるつもりはなかったんだけどね…」

あのクチュリエが指名した地味な女というレッテル(失礼な話だけどね!誰なの、こんなこと言ったやつ!?)から、クチュリエに認められた謎の女という肩書に書き換えられた。

いや、謎の女もよくわかんないけど!

そんな風に言われるようになって、散々裏で言われて来た嫌味も解消されつつあったからー…

「KAZUSHIのブログにも載ってたよ!」

「え、KAZUSHI?」
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