可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

dress up2.)

何にも起きない日々はただ通り過ぎて。
今日もそんな1日を過ごして、ホームルームが終わった教室を出る。

スマホを開いてみたけど別に何の連絡も来てないし。…まぁ私も連絡してないけど。

「じゃあ南乃ばいばい~」

「うん、また明日ね!」

実彩子に手を振って校門から出た。

最近ちょっと寒くなって来たなぁ~、もう12月だもんそら寒くもなるか…


あれから一成とは会ってなくて。

あのキスは本当に何の意味もなかったんだって思い知った。


フランス帰りのクチュリエだもん、本当にあれはあいさつ程度で。
まだあの感触を忘れられないでいるのは私だけなんだ。

「…あれも夢だったのかな」

なんて、ひゅーっと冷たい風が吹く帰り道を1人物思いにふけちゃったりして。

「…やっぱり手の甲じゃ足りないって言えばよかったかな」

そしたら何してもらえたんだろ、手の甲じゃなくてもっと別の場所に…

「って違う!何考えてるの私!?」

いやいやいやいやっ、違うからね!?違うよ!?

恥ずかしくなって頭を抱えた。

路上で女子高生が1人何してるんだろ…っ

「オグラナノ」

「え…?」

わーっと頭を抱える私を呼ぶ声が後ろから聞こえて来た。

え、この声は…!?

でも私のことそんな風に呼んでたっけ…?
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