可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「電話したんだから出ろよなっ!!」

「なっ、スマホ鞄の中なの!気付かなかったし、そんな怒らなくてもよくない!?」

久しぶりに顔を合わせたのに第一声そんな怒鳴り声からだとは思わなかった。 

電話出ないだけでそんな怒らなくてもさ!

「…何?何の用?」

「学祭ファッションショーの写真、出来た」

「写真?わ、すごいキレイ!」

教室の後ろのドアから入って来た一成が写真を見せてくれた。
普通のL判サイズより大きいたぶん2Lサイズの、プロのカメラマンの人が撮ってくれたのかな?鮮やかに色が出てる。

ランウェイを歩く自分をこうして見るなんて、どこか慣れなくて変な感じだけど…


やっぱりすてきなドレスだよ。

こんなドレスを着られる私は…


「じゃ」

「え、これだけ!?」

写真を渡したらすぐに帰ろうとしたから、つい口から出ちゃった。あ、顔にも出ちゃってたかも。

「…なんだよ?」

「あ、えっと…あの…」

引き止めといて振り返った一成から目を逸らしてしまった。だって久しぶりに顔を見たから、でも次に出て来る言葉が何も見付からなくて。

「……。」

「…ないなら、帰るわ」

「あ、待って…!」

背中を追いかける、まだもう少しここにいてほしくて少しでいいから話したくて一歩足を踏み込んで追いかけ…っ

「わっ」
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