可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
ズルッ、と踏み出した脚が滑って体が…ッ

「お前っ、何してんだ!?気を付けろって言ったよな!」

「ご、ごめんなさい…」

「モデルの自覚あんのか!?」

「モデル…」

って私もうモデルじゃないけど、でも一成にそう言われたらなぜか泣きそうになる。

私が怪我しないように庇ってくれた。
教室の後ろ、きっと一成がいなかったら思いっきり転んでた。

それがすごく嬉しい、嬉しいんだけど…

こんな一成の膝の上で腕の中に閉じ込められるみたいに助けてくれるとは。

「怪我は?」

「怪我はない、ないです…!」

恥ずかしい、怪我とかよりもこの状況の方がやばいっ 

早く立ち上がらないと、早く…!

「あの…っ、離してくれない?」

全然手をどけてくれなくて。
後ろからガッチリ私の腕を掴んで離さない、そのせいで立ち上がるにも立ち上がれない。

「えっと、私…」

ハァーっと一成が大きく息を吐いた、それはそれは大きなタメ息で私に呆れてるみたいな。

これは怒られるやつ!?いい加減にしろって怒られ…!?

「あのさぁ、写真なんて口実に決まってんだろ?」

その声は思っていたよりも優しくて、全然怒ってなかった。

「あんなのわざわざ俺が持って来るかよ」

耳元で聞こえる一成の声、話すたびに息がかかって熱くなる。

「何の用?じゃねーよ、ナノにしか用ねぇよ!」
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