可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
どうしよう、もう抑えきれない止められない…っ

体中巡っていくドキドキに占領されていくみたいで、思わず掴んでしまった一成の開いた制服から見えるシャツを握りしめた。

「…なぃ」

ふるふると震える手、きっと伝わっちゃってたと思う。握ったシャツを引っ張っちゃったから。

「…足りない」

「は?聞こえねぇよ」

顔が見られなくて、隠すみたいに下を向いていた。

だってどんな顔したらいいかわかんないし、本当は何を言ったらいいのかもわかんなくて…

ドキドキが大きくなっていく、自分の体なのに自分でわからないくらいに。


もうわかんない…っ 


一成の体にしがみついて、ゆっくり顔を上げた。


「一成が足りない…っ」


本当はもうずっと足りない。

あの時から、キスをした日からずっとずっと頭の中は一成でいっぱいで。

「足りなっ」


ん…っ 


息ができなくなった。

口を塞がれ、息を止められたみたいに。

一瞬で酸素は帰って来たけど。

「…っ」

泣きたいわけじゃないのに涙が出て来る、一成と顔を合わせたら。


離れても離れなくても上手く息ができないよ。

じっと見つめ合って、肩を揺らして息をして、そうじゃないと自分を保てないから…

ううん、もう保てる気もないし保つ気もないよ。


「…もっと欲しい」


引き寄せる、掴んだシャツを強く握って。

だからもっとちょうだい、もっと一成でいっぱいにしてほしいの。

これじゃ全然足りない…!

「!」
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