可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「…はい」

「出るんだ!?このタイミングで出ちゃうの!?」

ふつーにズボンのポケットからスマホを取り出して電話に出た。
私が口を出したことが気に入らなかったのかグイッと肩を掴まれ引き離された。一成の膝の上から教室の床へ、めちゃくちゃ冷たくてぶるっと身震いがした。

「…。」

いい雰囲気だったよね、よかったよね…?

切り替え早過ぎない!?

多くは言わないで、はい、はいとだけ答えてる。さっきとは表情も違って真剣な目をして。

そんな大事な話なの?大事な相手なの?

私より、大事な電話なの…?

「…はい」

静かに電話を切った。
ふぅっと息を吐いて、1度瞬きをして瞳に力を入れた。

そのままスッと首を動かして、ぺたんと床にお尻を付けて座っていた私の方を見た。

ドキッっと胸が鳴る。


やばい、見られただけでまたドキドキして来ちゃう…!


今のでまた頬が熱くなっちゃって、髪の毛を直すフリをしてちょっとだけ床を見るように視線を下げた。

また近寄られたら…

まだ途中だったけど…

え、途中だったの?

違う違う!

まだ足りないとかそんなんじゃ…っ


「決まった」

決まった…?


あたり前のように話し出すから、理解がちっとも追い付かなくて。

だって甘くてとろけるような空間だと思ってたから。

「次、ナノが歩くランウェイが決まったから」

「………は?」
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