可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
一成がパンパンと制服を叩きながら立ち上がって、まだぺたんと座ったままだった私に手を差し出して。ありがとう、ってその手を掴んで立たせてもらう。


「KAZUSHI主催のファッションショーだ」


せっかく立たせてもらったのに、その名前に過剰に反応しちゃってハッと体が揺れた。

「KAZUSHI主催のファッションショー!?」

目を見開いて大声で叫んじゃった、教室中に響くくらいに。

「なんだ…知ってるのか」

「知ってるよ!さすがにそれは知ってる!私だってこの学校の生徒だよ!?普通科の私でも知ってる事実だよ!」

あと、こないだ会ったからね。話しかけられたから、しっかり記憶されちゃってるの。

“そんなところにいたら君の才能も死ぬぞ”

あんなこと言われたら忘れるわけない。

でもそんなKAZUSHI主催のファッションショーに呼ばれるなんて…

「じゃあ話は早いな」

握られた手が離されたのがちょっと寂しい、立たせてくれただけだからあれなんだけどちょっと手見つめちゃうっていうか。

「12月25日、クリスタルドームで行われるクリスマスファッションショー」

でも手なんか見つめてる場合じゃなかった。

え、待って。

今何て言った?

「次のランウェイはそこだ」
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