可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「え、南乃…?」

隣で実彩子が何かに勘付いた顔をしている。

「あ、あのね!実彩子っ、あの…!」

まだ実彩子にさえ何も言ってなかった。
隠してたわけじゃないけど、なんとなく恥ずかしくて…

そもそも一成と私はどんな関係なのか言葉にできる関係なのか私でもよくわかっていない。

「クチュリエと付き合ってるの?」

そんな言葉、一切交わしてないんだから。

でもこのザワザワに人が集まって来て、気付けばいろんな方向から見られてることになった。

「どうする?も1回しとくか?」

私の肩に手を回して、少しかがんで目を合わせる。2段下からでも私より背が高い。

「す、するわけないでしょ!?みんないるんだけど!」

何かを言えば言うほど顔が熱くなって、もうここから早く離れたい。

これ以上集まって来ないで見ないでいいから…っ

「見せつけとこうかと思って、俺のものっていう印」

ちゅっ、ともう1度頬に当たる。

かわすことも出来なくて。


「「「「「ぃやあぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」」」」」


その瞬間、廊下中…いや、学校中?に響く女の子たちの泣き叫ぶ声…

私だってだよ!私が言いたいよそれは!!

「付き合ってるんだーーーっ!?」

「実彩…っ、違うの!いや、違わな…くもない!?」

あーーーっ 

もうわかんない!

じゃっと颯爽に階段を上って、関係ない顔でこの場から去っていく我が校のクチュリエ様。

この場を全部動かしてるのは自分なのにそんな意識あるんだかないんだか…

てゆーかこれ以上目立たせないで!!!
< 80 / 130 >

この作品をシェア

pagetop