可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「一成っ!?」

「電話!出ろよな、探したわめちゃくちゃ」

「あっ、図書室にいたから…スマホ、スクールバッグの中だ」

一成のことにも気付かなかったぐらいだ、床に置きっぱなしだったスクールバッグの中のスマホにはもっと気付かなかった。

目を丸くした私を、ポケットに手を突っ込んではぁっと息を吐きながら見下ろすように見てる。

これは…
よくなかった、のかな?

勝手に探ってるみたいで…

KAZUSHIのことを調べに来たのは間違いじゃないけど、知っちゃいけないことも知ってしまった気がする。


一成とKAZUSHIのこと…

“一成とKAZUSHIは親子なの…?”

“そうだけど”


「えっと、あのっ」

「父親、俺の」

「…。」

私が持っていた本をスッと横から持っていった。

「たいそうな本出してんだな、世界のKAZUSHIはすげぇなーやっぱ」

パラパラパラと数ページめくって本を閉じた。
たぶんほとんど見てないと思う、それにその言い方は…見る気がなさそうにも思える。

「別に隠してねぇーから」

閉じた本を返された。

「つーか知ってる人のが多いだろ」

「そう…なの?」

フランス留学から帰って来るまで一成のこと知らなかった私が言えることじゃないんだけど、こんなの注目されないわけないよね。

「まぁあっちも海外ばっかで会うことなんかほぼねぇけどな」

吐き捨てるようなその言い方にわかってしまった、一成がKAZUSHIのことをどう思ってるのか。

尊敬してる人じゃない、それはきっと嫌悪だ。
< 84 / 130 >

この作品をシェア

pagetop