可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜

dress up5.)

顎を引いて重心が左右に偏らないように真っ直ぐ上から1本の糸で引っ張られるようなイメージで。

モデルは歩き方だけじゃない、常に正しい姿勢を心がけること。

学祭でランウェイ歩いた記憶がまだ体に残ってて、つい癖みたいな感じで終わってからも歩き方には気を付けてた。

「基礎、は忘れてない」

鏡の前に立ってみる。

あれから体型維持だって続けてたし、筋トレも運動もしてた。

学祭ファッションショーのランウェイならすぐにでも歩けそう…だけど、5万人入るクリスタルドームじゃまだまだ足りない。

学祭だから手を抜いていいってわけではないけど!それは全然そうゆう意味じゃないけど!

さすがに同じ気持ち、ってわけにはいかないから。

同じ気持ちに持って行けるのがプロかもしれないけど、私にそんな力量はないし…

とにかく練習するしかない…!

「踏み出した脚に体重がかかり伸びきったら、後ろ脚の力を抜いてすーっと重心を移動させ…」

カタッ、と微かに音が聞こえた気がして振り返る。

「一成!」

「悪い、邪魔した」

「ううん、全然!」

練習場のドアから一成が顔を出していた。
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