可愛く着飾って、もっと愛して〜強引でめちゃくちゃな私のクチュリエ様〜
「一成、もうここでいいよ!もっと遅くなっちゃうからっ」

曲がり角を曲がったら、本当ならここで一成とは…なんだけど同じように一成も曲がり角を曲がったから。

「遅いからだろーが、ナノ1人で暗い中帰らせるわけには行かねぇよ」

「でももうすぐそこだしいいよっ」

私の少し先を歩いて前に立つ、大きな一成に隠れてたぶん反対側から見たら私は見えない。

「まだ今日1度もナノに触れてないんだけど」

ドキッと心臓が鳴って、ドキドキ言い出す前に一成が近付いた。


目をつぶったら唇が重なる。

ほんの数秒間、でも何よりしあわせな数秒間。


離れた唇から白い息が舞って。

「何もしねぇで帰らせるかよ」

サッと手を握られ引っ張られていく。

もう少しの帰り道がもったいないな、もっと遠かったらいいのに…なんて。

私だって帰りたくないよ、一成に触れられないで帰るなんて…

言えないけどそんなこと。

だからもう少し繋いでいて、あと少しの帰り道を一緒にいられたら。

どうして手袋だけはしてなかったか、早く気付いてよね。
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