大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「さあ、セシリア。お父様もお母様も、お腹を空かせて食堂で待っているわ。さっさと着替えましょう」
 そう言ったエレノアは、部屋の隅に控えていたアニーに目配せをする。
 あれよあれよといううちに、セシリアの身支度は整った。
 白いレースのエプロンがついている、ラベンダー色のエプロンドレスだ。髪の毛は、エレノアが手早く三つ編みを二本作ってくれた。
「では、食堂にいきましょう」
 エレノアとしっかりと手をつないで、目的地に爪先を向けた。
 食堂にはすでに両親がそろっていて、にこやかにセシリアたちを迎えてくれた。
「おはよう、エレノア、セシリア」
「おはようございます、お父さま、お母さま」
「おはようございます。今日のセシリアはお寝坊さんだったのよ。わたくしが起こして、やっと起きたの」
 執事が椅子を引きエレノアは自然と座るものの、口だけはしっかりと動いている。
「昨日は慣れない場で疲れたのだろう。今日はゆっくりと休んでいなさい」
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