大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 ジェラルドがあの場で婚約破棄宣言をしても、簡単にそれが実現されるわけではない。国王も巻き込んで、後腐れないように手続きする必要があるのだが、やはり国王は二人の婚約解消については反対なのだ。
 王太子妃として、エレノア以上にふさわしい女性はいないだろう。魔法公爵家の娘で、父親は外交大臣を務め国内外に顔が広い。母親も、独身時代には学園で教鞭をふるっている。また、水魔法を繊細に操るため、水害が起こったときにはたまに呼び出される。この国の水瓶を守っているのはケアード公爵夫人とも、裏ではささやかれているほど。
「セシリア。今日はたくさん食べたのね」
 そんな母親の声で我に返る。
「はい」
 元気よく返事をして、牛乳をごくりと飲んだ。

 朝食後、少し休んでセシリアは、エレノアを庭園の散歩に誘った。
「お姉さまは、もう、学校に行かなくていいんですよね?」
 気づいたら、セシリアはそう尋ねていた。
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