大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 昨日は卒業パーティーだった。卒業パーティーには卒業生の家族も参加できる。だからセシリアも両親と共にあの場にいて、エレノアの門出を祝う予定だった。
「そうね。卒業したからね」
 その口調は、どこか寂しそうにも聞こえた。
 ふわりと風が吹き、花の香りをのせてくる。
「今日から、セシリアはお姉さまと一緒にいられるのですよね? お姉さまはずっとお屋敷におりますよね? セシリアにも魔法を教えてください」
 セシリアはエレノアが大好きだ。謎の記憶が流れ込んできても、セシリアの本質がかわるわけではない。たった七歳の、姉と両親が大好きな女の子。
 毎朝、学園へと向かうエレノアの後ろ姿を寂しく見送っていた。エレノアが学園に通わなければならないのもわかっていた。そしてセシリアも、十二歳になったら学園に通い始める。
 だけど、そこにエレノアの姿はない。学園に大好きな姉と一緒に通えないのが不満だった。年が離れているから仕方ないのだが、それでも姉と同じ制服を着て、一緒に学園へと向かいたかった。
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