大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「そう、ね。今日からはセシリアと一緒にいられるわね。いつの間にか、この庭園にもたくさんの花が咲いたのね」
 庭園の花を愛でる時間もないほど、エレノアは勉学に励んだ。朝早くから、夜遅くまで。王太子の婚約者としてふさわしい振る舞いをと思っていたところもあるのだろう。
「お姉さま。このお花は、わたしがお母さまと一緒に植えたのです」
「まぁ、きれいね。それにこのお花……水魔法がかけられている?」
「そうです。お母様が水魔法の研究だといって、水やりをしなくても育つお花にしました」
「そうなのね」
 その場にしゃがみ込んだエレノアは、水魔法がかかっている花をじっと見つめた。
「こんな身近なところに、模範となるような人がいたのね。それに気づかないとは、わたくしも浅はかだわ」
 エレノアが何を言っているのか、セシリアにはさっぱりとわからなかった。
「よし。これからはこのエレノア様が、かわいいセシリアにしっかりと魔法を教えてあげましょう」
 わざとらしいくらいの明るい声だ。
 そしてセシリアは「やったぁ」と元気に飛び跳ねる。
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