大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「どうしたの? ケビン」
 彼の姿をとらえたエレノアは、すっと立ち上がった。
「旦那様がお呼びです」
 その一言で、エレノアの顔が強張った。
 セシリアは、すかさず姉の手を握る。
 驚いたようにセシリアを見下ろしたエレノアだが、その表情は凜としていた。

「なんだ。セシリアも一緒なのか」
 父親の執務室に入ると、セシリアの姿を見つけた父が、開口一番そう言った。
「お父様。セシリアには聞かせられないようなお話を、わたくしにするおつもりですか?」
「いや、そうではないのだが。まぁ、座りなさい」
 促されたソファにエレノアとセシリアは並んで座る。目の前には両親が座っているものの、母親の目はどことなく憂いていた。
「ジェラルド殿下との婚約の件だ。婚約解消の手続きに必要な書類が送られてきたのだが……」
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