大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 セシリアもテーブルの上に並べられた書類を、じっくりと観察する。
(思っていたよりも早かったわね。陛下も、さっさと決着をつけたいのね)
「もし、婚約を解消するならば、ジェラルド殿下側の落ち度ということで慰謝料を支払うと。だが、提示された金額はたったのこれだけだ」
 あのような場で婚約破棄宣言を一方的にしたのはジェラルドだ。特にその理由の説明もなかった。いや、あのあと、くどくどと理由を並べ立てようとしたのかもしれない。それより先に、セシリアがエレノアの手を引っ張って、会場から抜け出した。
「まるでエレノアにはこれだけの価値しかないような仕打ちだ。それにもう一つ。国預かりの領地もという話だが、このリストを見てくれ」
 エレノアが身を乗り出したところで、セシリアも真似をした。
「この場所……」
「さすがエレノアだな。ここにある土地は、国としてもたいした収入にならず、手を焼いている場所だ。そのような場所を我々に授けると……」
「つまり陛下は、お姉さまが王太子殿下と婚約解消をされては、困るということですよね?」
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