大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 セシリアの問いにエレノアは顔をあげて、はっとする。
「わたくしが殿下を好きかどうか? 考えてもみなかったわ。婚約が決まって、立派な王太子妃にならなければと、そんな気持ちでいっぱいだったし」
「お姉さまは殿下に未練がありますか? 殿下と結婚したいですか? お姉さまと婚約しているのに、ほかの女性を隣に置くような殿下と、結婚したいですか?」
 セシリアがぐいぐいとせまると、エレノアも真剣な眼差しで考え込む。
 しかし、それに声をあげたのは母親だった。
「私は反対ね。このまま殿下と婚約関係を続け結婚したとしても、エレノアが幸せになれるとは思えません」
「お母様?」
 今まで沈黙を貫いていた母親が意見を口にしたことで、エレノアも動揺を隠せない。
「だけど、あなたが殿下のことが大好きで、信じたいと言うのであれば別。この婚約を続けるかどうかは、あなたの気持ち次第よ。親としては、やはり娘には幸せになってもらいたいの。私たちのようにね」
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