大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
3:大好きなお姉さまとひきこもります
 エレノアとジェラルドの婚約は解消された。
 送られてきた書類に丁寧に書き込みサインをして送り返したところ、翌日、ケアード公爵は国王から呼び出された。
 やはりセシリアが言ったとおり、安い賠償金も、収入の見込めない土地も、婚約を解消させないための布石だった。あの場でジェラルドが婚約破棄宣言をしたから形として書類を送ってみたものの、エレノア側から「婚約解消について考え直してほしい」という言葉を引き出したかったようだ。
 だが、それもずばっとセシリアがお見通しである。
 ケアード公爵は「てっきり、王家側にとっては我が娘にはあれだけの価値しかないのかと、そう思いましたよ」と吐き捨てた。
 婚約の継続については、ジェラルドの気持ちがエレノアに向いていない事実を突きつけ、イライザの存在を口にした。
 さらにケアード公爵は言葉を続ける。
 エレノアの婚約解消を認め、公爵領に戻ることを許可してくれるならば、これ以上は何もしない。だが、エレノアを侮辱するのであれば、こちらとて考えがあると。ケアード公爵が率いる騎士団の存在をにおわせた。
 むしろ、アッシュクロフ王国から独立してやるぞ、的に威圧する。そうなれば、国王もたじたじだ。
 それからケアード公爵は外交大臣を辞し、王都セッテからさっさと公爵領へと向かった。王都にある別邸は、信頼のおける家令に任せた。
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