大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 とにかくもう、国王たちは信用ならん、というのがケアード公爵の言い分だった。助けもしないが反抗もしない。もう、そっとしておいてくれ。とでも言うかのように、領地へと戻ることにしたようだ。
 しかしセシリアは、両親はてっきり王都セッテに残るものだと思っていた。
 だというのに国王に啖呵をきり、大臣まで辞してきた。だから今、エレノアやセシリアたちとフェルトンの街に滞在している。
 父親は「新しい領主だとみなに紹介する必要があるからだ」と言っていたが、純粋にエレノアやセシリアのことが心配なのだろう。
 エレノアは領主代理としてフェルトンの街に住むことになる。もちろん、セシリアも一緒だ。セシリアが視たものをエレノアが利用する。そしてセシリアに過去視や未来視があることを、知られないようにする。
 国直轄からケアード公爵領となったフェルトンの街だが、人々はどことなく沈んでいた。
 公爵が町長や商会長などを呼び出し、今後の街の方針について説明をした。そして領主代理のエレノアの指示に従うように、とも。
 いくら公爵の指示であったとしても、エレノアは十八歳の成人を迎えたばかりの女性だ。彼らは「こんな小娘に」という不躾な視線を投げてきた。
 そこでエレノアが「さとうきび」を使った事業について説明したところ、手のひらをころっと返してきた。やはり彼らも、さとうきびの有用性についてわかっていなかったのだ。
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