大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 そこからさとうきびを使った事業が始まった。町長や商会長、組合員などの協力も得て、やっとそれらが軌道にのったところで、ケアード公爵は夫人と共に本邸へと戻った。本邸がある公爵領は、フェルトンの街から馬車に揺られて半日もかからない。
 そしてこの街に残されたのは、領主代理のエレノアと幼いセシリア。さらに彼女らを守る使用人たち。
 フェルトンの街にやってきて、エレノアにも笑顔が戻った。

 今日も甘いにおいがどこからか漂っている。
 さとうきびから砂糖を作るためには、さとうきびを収穫し二つの工程を経る。砂糖の素となる原料糖を取り出す工程と、原料糖から精製糖を取り出す工程だ。これらをそれぞれ前工程、後工程と呼んでいた。
 さらに、その砂糖を使って料理を提供する。
 もちろん、これらはセシリアの頭の中に流れ込んできた記憶を利用している。それをエレノアに伝え、彼女が事業計画案としてまとめた。
 廃れた街であったフェルトンだが、次第に人が集まり始める。砂糖と砂糖を使った料理の噂を聞きつけたのだろう。
 もちろん、そういった噂を流したのはケアード公爵だ。外交大臣だったころの伝手を使い、それとなく砂糖の話を広めた。
< 28 / 53 >

この作品をシェア

pagetop