大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 そしてエレノアとセシリアがフェルトンの街に住み半年ほど経ったころ、本邸にいるケアード公爵から一通の書簡が届いた。
「お父様もわざわざ書簡だなんて、どうされたのかしら?」
 急いで封を切り、中身を確認する。
「お姉さま、お父さまからの手紙には、なんて書いてありましたか?」
 まだ両親が恋しいセシリアにとって、父親からの手紙であれば、どんな内容かとわくわくしてしまう。
 それでも大好きな両親と離れてフェルトンの街に滞在しているのは、エレノアがいるからだ。そして大好きなエレノアと立ち上げたさとうきび事業。今では、真っ白いきらきらと輝く砂糖がフェルトンの街へと出回り、近隣の町や村、そして王都にも少しずつ広がっている。
 フェルトンの砂糖に興味を持つ者も出てきて、さとうきび畑を見学したいとか、砂糖を作る工程を見たいとか、そういった希望も受け入れている。ただ、そのような対応は町長や商会長に任せてあった。
 この事業の中心にエレノアがいると知られてしまえば、彼女に求婚者が集まってくるだろうと、父親が心配したからだ。
 エレノアだって年頃の、魅力的な女性である。そんなエレノアに変な男たちが寄ってこないようにと、使用人やら護衛の者たちが目を光らせている。さらに町長、商会長、その組合員たちもエレノアを女神のように崇拝しているため、それとなく見張っていた。
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