大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 その甲斐もあってか、今のところ、エレノアに求婚しようという心臓に毛の生えたような図々しい男性はいない。
「ロックウェル王国のシング公爵家のコンスタッド様が、フェルトンの砂糖に興味を持たれているから、見学に来るそうよ。その間、こちらの屋敷に滞在することになるから、準備をするようにって。あらあら、どうしましょう。忙しくなるわね。お父様も一緒に来られるそうよ」
「やったぁ~」
 今回は、隣国ロックウェルの貴族ということもあり、フェルトンの領主であるケアード公爵に打診したのだろう。今までの見学者とは異なる。だからケアード公爵も同伴すると、手紙で知らせてきたのだ。
「では、早速準備にとりかからなくてはね。明後日には来られるそうだから」
「コンスタッド様は、今は本邸のほうにいらっしゃるのですか?」
「そのようね。だけど、今回の訪問はお忍びのようよ」
 しっと唇の前に人差し指を立てるエレノアの姿は、普段より幼く見えた。
 エレノアが急いで使用人たちを集め、明後日に公爵が客人を連れてやってくる旨を伝える。
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