大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「あ、モリスに伝えないと」
 セシリアが声をあげる。
「そうね。モリスがへそを曲げてしまっては、たいへんだわ」
 モリスとは、二ヶ月ほど前に、フェルトンの街の入り口に倒れていた女性だ。どうやら王都へと向かおうとしていたらしいのだが、道に迷ってフェルトンにたどり着いたらしい。
 彼女を見つけたのはセシリアで、人を呼び、モリスを屋敷にと連れて帰ってきた。幼いセシリアであっても、道ばたに年頃の女性を転がしておくのは危険だと思ったのだ。
 目を覚ましたモリスは、セシリアに非常に感謝した。さらにフェルトンの街を気に入り、ここに住むとまで言い出す始末。
 モリスがこの街を気に入ったのは、もちろん砂糖があるから。食べ物が美味しい、ほかのものは食べられないとまで言っている。
 そして、年頃だと思われたモリスだが、実はセシリアの母親よりもちょっとだけ年上だった。
 そんなモリスは、今はさとうきび畑の管理人として働いている。彼女は、四属性、すべての魔法が使えた。四属性の魔法を使える者を「賢者」と呼んでいるのだが――。
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